過去ログ - 和「あんたのなつやすみ」
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10:μ[saga]
2012/07/19(木) 19:35:39.55 ID:Jwj4hYrL0
「いい? よく聞きなさい、唯。
これは私だけの問題じゃないの。
これはね、私の幼馴染みであるあんたにも危険が迫ってるって事でもあるのよ」


「わ……、私っ?」


唯が素っ頓狂な声を上げて怯え始める。
やっぱり、何も分かっていなかったらしい。
呑気な事だけれど、それは呑気な唯のままでいいと甘えさせていた私の責任でもあった。
私は唯を共犯関係に引きずり込むため……じゃなくて、
唯の呑気さをこれまで正して来なかった責任を果たすため、真剣な声色で続ける。


「よく考えるのよ、唯。
あんたは私の幼馴染みでしょう?
幼馴染みである以上、あんたもこの問題とは無関係ではいられないの。
恐らく私の噂が広まった後にはあんたの噂も広がるでしょうね。
「見栄っ張りで嘘吐きな真鍋和には平沢唯って幼馴染みが居るらしい」って。

後は大変よ。
あんたの姿を見かける度に、
「あれが平沢唯か」、「あの子も見栄っ張りなのかな?」、
「ギター弾けるってのも見栄なんじゃね?」、
「真鍋和の幼馴染みだしそうに違いないな」って噂がまた伝播していく事になるわ。
そうなってしまったが最後。
ただでさえ赤点がちなあんたの内申点に響いて、大学進学も危うくなるかもしれないのよ?」


「ええっ?
そ、それは困るよう……」


呑気な唯もようやく自分の置かれてしまった立場を理解してくれたらしい。
かなり怯えた表情で私に救いを求める視線を向けていた。
勿論、私は唯に救いの手を差し伸べるわ。心からそうしようと思う。
こうなってしまった以上、私達は一心同体の運命共同体。
後はこの困難に力を合わせて立ち向かっていくだけよ。
私は軽く微笑んで、唯が安心出来るように優しい言葉を掛ける。


「そのためにも、私達は二人で頑張っていかなきゃいけないの。
協力……してくれるわよね、唯?」


「ど……、どうしたらいいの、和ちゃん……?」


「二人で誰にも姿を見られずにこの数日間を乗り切るのよ、唯。
この家にひきこもって二人で共同生活をするの。
そうすれば唯の内申点に影響が出る事も無くなるわ」


「えー、それはやだよー……。
誰にも言わないから家に帰してよう、和ちゃん……」


何の悪気も無い顔で唯が平然とそう返す。
ここまで話させておいて、そう来るのね……。
そうよね……、唯ってそういう子なのよね……。
勿論、そんな唯の勝手を認めるわけにはいかないわ。
唯に任せておいたら、数日後どころか今日中に憂に話してるでしょうしね……。
やっぱり数日掛けて、決して口外しないように根気強く教育を施すしかないわ。
こうなると、もう手段を選んではいられない。
私は唯の耳元に口を寄せると、小さな声で、でも威圧的に囁いてみせる。


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