12:μ[saga]
2012/07/19(木) 19:36:29.20 ID:Jwj4hYrL0
「協力しないと、中学の修学旅行の時にあんたが起こした事件を言い触らすわよ?」
「ええ……はぐあっ!」
またしても大声で叫びそうになった唯の口の中に、私は指を四本突っ込んだ。
形振りなどには構ってはいられない。
本当の意味で私の未来が懸かっているのだから。
数秒後、唯が少しだけ落ち着いたのを見計らってから指を放すと、苦々しげに唯が呟き始めた。
「それはずるいよ、和ちゃん……。
あれは私と和ちゃんだけの封印された歴史だよう……。
大体、あれを言い触らしたら和ちゃんだって……」
「そうね、無傷では済まないでしょうね……。
でも、覚悟の上よ。
唯が協力してくれないのなら、あの事件と一緒に私も心中する心積もりよ」
「あんまりだー……」
唯が項垂れて呟く。
でも、項垂れながらも、唯は頷いてくれていた。
何はともあれ、こうして私達の共犯関係が始まる事になった。
唯と二人での最高最大のひきこもり生活が始まる。
「ところで和ちゃん……」
「どうしたのよ、唯?」
「ずっと和ちゃんの家にひきこもるのはいいとして、
よくはないけどいいとして……、憂に何て言ったらいいの?
いきなり何日も家を空けるなんて、いくら何でも無茶過ぎるよう……」
「そうね……。
急に私の家のハワイ旅行に付き合う事になったって電話で説明しておきなさい。
チケットが余って勿体無かったからって」
「和ちゃん……、本当にそれで通用すると思ってるの?」
「通用させるのよ。無理が通れば道理は引っ込むわ」
「何それー……」
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