過去ログ - テッラ「困りましたねー」フィアンマ「言う程困ってもいないだろう」
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◆2/3UkhVg4u1D
[saga]
2012/07/25(水) 20:37:09.05 ID:PN3A7Izy0
浅い眠りから、しばらくの間、それなりに深い眠りに堕ちて。
フィアンマが目を覚ますと、テッラはベッドに腰掛け、膝枕をした状態で、器用にも眠っていた。
疲れていたのだろうか、などとぼんやり思案しつつ、フィアンマは腕を伸ばし、眼前の緑髪を撫でる。
少々ごわついてはいるものの、さらさらとして触り心地はそこまで悪くも無い。
フィアンマ相手にテッラが警戒する必要も無い為、テッラは静かに眠っている。
フィアンマ(脚が痺れてしまいそうなものだが)
そんな事を思いつつも、フィアンマは頭を上げないし、離れようともしない。
彼の性格上口に出しはしないが、自分を心底好いてくれている人間と二人きりでいる状況は、心地が良いもので。
フィアンマ(俺様を長い間、今も一心に想い続けるお前の心に、醜さなどあるものか)
そんな事を考えながら、フィアンマは呑気に欠伸を漏らした。
眠気はもう残っていないものの、いまいちだるい。
何か食べるべきだろうか、と時間を確かめてみても、今は深夜。
とてもではないが、物を食べる時間などではない。
別段、体型が気になるだとかそんな乙女思考は持ち合わせていないが、身体に良くない。
まぁいいか、と面倒臭さを優先し、フィアンマは少し迷った後、テッラの手を握った。
所謂恋人繋ぎまではせず、ただ握ったのみで天井を見上げる。
一人分の寝息と一人分の穏やかな呼吸が合わさって、静かに部屋の中に響く。
思えば、フィアンマの長い長い人生の中で、こうして他人と二人きりで怯えられる事も無く時間を過ごした事は、無かった。
座敷牢に閉じ込められていた頃も、食事を届けに来てくれた青年と一言二言話すのみで、後は本と過ごしていたから。
悲壮感を覚える事は無い。それなりにマシな扱いだったと、フィアンマは思っている。
『世界を救える程の力』。
活用するつもりはない。
力を持っているからといって、世界を救わねばならないという理由も無いだろう。
これはいけないことだと、フィアンマは思っているが。
だからといって、フィアンマがこの世界に人生を尽くしたところで、見返りは無いのだ。
決して失いたくないものだって、ありは……。
フィアンマ(…どうだろうな。お前を喪ったところで、俺様の内面に変革が訪れるとも思えないのだが)
握ったままの手をやわやわと握り、フィアンマは天井をじっと見つめる。
この世界に大きな危機が訪れていることは、理解している。
何しろ、『神の右席』に座する者でさえ、自分以外は属性のズレや歪みに気付けていないのだから。
深刻だ、とは思うのだ。だからといって、その歪みを正すために全力を尽くす気にもなれない。
テッラを喪ったその時には、自分の何かが変わっているだろうか、と予想する。
そこまでの悲しみに囚われるか? そこまで、この男は自分にとって惜しい人間なのか?
フィアンマ(……ひとまず、しばらく安息の場所を失う事には間違い無いだろうな)
燃える赤を長い間象徴してきている男は、寂しそうに目を閉じた。
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