過去ログ - テッラ「困りましたねー」フィアンマ「言う程困ってもいないだろう」
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36: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2012/07/28(土) 14:07:06.78 ID:95CDcrJg0

二人は大聖堂へと戻ってきた。
もうすぐ夜が明ける。
フィアンマの『コーヒーが飲みたい』という言葉に従い、テッラはコーヒーを淹れた。
珈琲豆の何とも説明し難い良い匂いが辺りに漂う。
ブラックで飲むかどうか少し悩んだ後、フィアンマはボーションミルクを落として、軽くかき混ぜてから飲んだ。
豆から淹れたコーヒーの為、苦味は無い。ひとまず、身体は温まる。
本を片手にコーヒーを啜り、フィアンマは何か話しかけようと口を開いては、やはり何でもないと口を閉じた。

フィアンマ「、…」

テッラ「…どうかしましたか?」

フィアンマ「…いや、特に用は無い」

静かにコーヒーを啜り、フィアンマは首を横に振る。
そしてぼんやりとした表情で何かをしようとした。

フィアンマ「…、…」

テッラ「どうかしましたか?」

フィアンマ「いや、…また人が足りなくなるな」

そう言葉を漏らしたきり、フィアンマは口を噤んだ。







その日の午後。
今代の前方のヴェントの死亡の報告が届いた。
内紛の仲裁の最中に、という話らしい。
元々僻地へ向かった事で病にかかり、身体が弱っていたという理由もあるらしいが。
実に宣教師らしいといえばらしい死に方では、ある。
これで『右方』と『左方』しか、現在の『神の右席』には残っていない。
だが、最低でも『右方のフィアンマ』さえ残っていれば、『神の右席』という秘密組織自体は成立する。

フィアンマは一人で、静かに祈りを捧げていた。
また喪われてしまった。
予測はついていても、予想していても、悲しい。
寂しいものは、寂しい。
砕けた心ながらも更に傷つきつつも、死ぬその時まで『前方』の座についていた青年の死後の安息を祈り、フィアンマは独りで泣いた。

フィアンマ(予想は、ついて、いたのだが、)

誰も傍に置かず泣いて祈った後、しばらくフィアンマはぼんやりとしていた。
言いようも無く寂しかった。
だが、誰かに寄りかかろうとは思わない。
そんなフィアンマを見、声をかけようか悩んだ末に沈黙を守り抜いたテッラは静かに目を伏せた。

テッラ(また、泣いてしまいましたねー…)


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