過去ログ - テッラ「困りましたねー」フィアンマ「言う程困ってもいないだろう」
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[saga]
2012/08/05(日) 12:51:33.98 ID:9T+BH3H/0
風邪というのは実に厄介な病気で、特効薬も、よく効く回復術式も無い。
強いて言えば免疫力を回復させる術式があるくらいなもの。
更に、一度認識したらどんどんと悪化していくという嫌な側面も持ち合わせている。
面倒に思いつつも、騒乱の無い今はゆっくり治しても問題の無い状況。
つまり、寝て治してしまうのが一番、ということだ。
という訳で、テッラにやや促されるまま、フィアンマはベッドへと横たわる。
世話をしなければならない猫はもう居ない。ずっと寝ていても問題はない。
けほ、と乾いた咳を漏らし、フィアンマはぼんやりとした表情で天井を見上げる。
そしてのろのろと腕を伸ばし、毛布を胸元まで引き上げた。
どうせ、この程度の病気では死なない事位わかりきっている。つまらない。
フィアンマ「…部屋から出たらどうだ。感染るぞ」
テッラ「構いませんねー」
フィアンマ「……物好きなヤツだ。放っておいても死なんよ」
テッラ「死ぬ死なないの問題ではありませんねー。食欲はありますか?」
フィアンマ「一切無いな」
テッラ「暑さ寒さ、どちらを強く感じますか?」
フィアンマ「悪寒だ」
医者のような丁寧な問いかけに淡々と答え、体の内側から湧き起こる発熱時特有の悪寒に吐き気すら覚えながら、フィアンマは目を閉じる。
不意に、フィアンマの身体にもう一枚毛布がかけられる。
暖かさが増した事に、わざわざ問うまでもなく、フィアンマはテッラがかけたものと認識した。
警戒心は無い。テッラにフィアンマが殺せないというのもあるが、それだけには限らず。
テッラはフィアンマの頭痛を和らげるように、優しく、眼前の赤く長い髪を撫でた。
切った事の無い髪は女性のように滑らかで、触り心地が良い。
フィアンマ「…眠れん。退屈だ。何か話せ」
テッラ「では、疑問を…貴方の髪は、何かの願掛けで伸ばしているのですか?」
フィアンマ「そうだな…否定はしないよ。…大切な人が、見つかるように、と」
テッラ「…大切な?」
フィアンマ「誰でも良いんだ。誰か、俺様の傍で幸せそうな笑みを浮かべてくれる人間なら、誰でも」
テッラ「……、」
フィアンマ「…今のところ、その地位はお前だよ」
テッラ「…私、ですか?」
フィアンマ「あぁ。…お前と居ると、心地が良い」
風邪による熱で浮かされた思考。
律しようと思えば律する事は出来たが、フィアンマは敢えて心中を吐露した。
神の次、もしくは神と同等な程に自分を敬い愛していると理解しているから、何を知られても怖くはない。
フィアンマ「だから、別の願掛けにした…」
テッラ「…別の願掛けとは、どのようなものですかねー?」
フィアンマ「…ん、…知りたいのか?」
テッラ「嫌でなければ、ですがねー」
ふふ、と中性的な顔立ちに柔らかい微笑みを浮かべ、フィアンマは首を傾げてみせる。
そんな様子にときめきを覚えつつ、テッラは静かに言葉を促す。
フィアンマ「…お前が、俺様を置いてさっさと死んでしまわないように、だよ」
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