過去ログ - テッラ「困りましたねー」フィアンマ「言う程困ってもいないだろう」
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◆2/3UkhVg4u1D
[saga]
2012/07/22(日) 03:17:58.60 ID:Wo68V/rd0
テッラ「そういえば、」
フィアンマ「ん?」
唐突な切り出しに、フィアンマは首を傾げる。
テッラの飲んでいるワインを、勝手に貰い受ける形でワイングラスを没収しつつの聞き返し。
儀式として必要量は摂取済みの為、苦笑しながらテッラは言葉を続けた。
テッラ「ヴェントはまだ戻らないようですねー?」
フィアンマ「方々に飛ぶよう言いつけてあるからな。まぁ、ヤツはその方が合っているよ」
前方のヴェント。
『神の火』を司る、元気過ぎる金髪の少年。
いや、年齢だけを取り上げれば青年ではあるのだが、何分童顔気味であること、元気溌剌としていて落ち着きが少ないこととで、少年に思えるのだ。
現在はローマ正教の方向性である『世界の管理と運営』という観点から、世界の内紛の仲裁に向かっている。
ついでにいえば布教も兼ねて。元気さと敬虔さが重なるとああなるのか、とフィアンマは考えている。
今のところ、科学サイドと衝突は無いし、他の宗教集団―――例えば、イギリス清教等との関係も悪くは無い。
有り体に言えば暇過ぎるのだ。故に、ヴェントを"遊ばせて"いる。
テッラから奪ったワインを不味そうに飲み、フィアンマは小さくため息をつく。
フィアンマ「…何時になれば『神の力』に適性のある人間が見つかるんだ。待ちの体勢というのも、なかなかどうして、疲れる」
テッラ「前代が死んでから中々見つかりませんからねー…」
後方のアックア。
青い髪をした壮年の男性だが、数年前に死んでしまって以来、『後方』の位置は空となっている。
力のある秘密、暗部組織である以上別段メンバーが一人欠けた程度で『神の右席』は揺らいだりなどしないものの、それでも気になる。
スカウト、などという馬鹿げた考えが一瞬思考を占拠し、テッラは頭を振って振り払った。
フィアンマとしては二十年以内に見つかればいいだろうという気軽な考え方ではあるが、手駒は多い方が良いとも思う。
だからといって、この二人が案じたところで見つかるというものでもないのだが。
不味いワインを飲み終え、空のワイングラスをテッラの前に戻して、フィアンマは暇を持て余した。
結わえていた髪を解くと、癖の無い長い髪が背中に広がる。
不要な食器やゴミを片付け、フィアンマはテッラを連れて『奥』へ行った。
聖ピエトロ大聖堂には、現在、この二人以外居ない。
ローマ教皇は慈善事業をしに行っているからだ。言うまでも無く、対外的アピールの為に。
『奥』の、本が詰まれた部屋で、椅子に腰掛け、フィアンマは退屈そうな表情を見せる。
何百年生きているとも知れない男は、どこまでも底が知れない。『神の右席』が名実共に『教皇の影の相談役』だった頃から、彼は『右方のフィアンマ』として君臨している。
その心は空虚で不安定であり、神以外何者も導でないことを、フィアンマの左隣に置かれた椅子へ座ったテッラはうっすらと理解している。
長く生きているにも関わらず彼の見目はどう見ても青年のそれではあるが、テッラは別段そこに疑問を抱いたことはない。
魔術的に解析するとすれば、とてつも長い文章になることだろう。
フィアンマ「思えば、お前と出かけた時にはいつも雨だな」
テッラ「雨男、というやつでしょうか」
雨男、晴れ男、などというものは、一般的には単なる迷信とされている。
だが、そこから意味合いを見つけ出し、術式まで組んで自然法則を捻じ曲げてしまうのが魔術(オカルト)の人間。
なので、割と真面目にそんな会話をしつつ、フィアンマとテッラは退屈と暇を会話によって潰す事にした。
別に、神に祈って時間を消費するのも悪くは無いが、テッラとしては好きな人と話をしていたいし、フィアンマはそもそも四六時中祈って辛さを感じない程にまで敬虔ではない。
やることがない、というのも、人間にとってはある意味苦痛だ。
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