過去ログ - テッラ「困りましたねー」フィアンマ「言う程困ってもいないだろう」
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78: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2012/08/06(月) 22:02:36.23 ID:2UVK3/eS0



教皇「ユダは裏切りの後、強い自戒に駆られて首を吊ったそうだ。彼の世界は暗く寒く深く苦しく、どこを見回しても一縷の希望すら見えなかったのであろう。覚えておくが良い、これから貴様が味わうものの正体だ」

ローマ教皇の声を聞き流しながら、ぼんやりと、フィアンマは思う。
そんな術式に囚われる以前に、もう、自分には一縷の希望すら見当たらない。
暗く寒く深く苦しく。そんなものは、もう既に陥っている。
こんな歪んだ世界でも、どうにか手探りで見つけ出した優しい希望を簡単に奪われ。
もう、もたれかかって許されるたった一人の人間は、フィアンマにどこまでも優しかったあの聖職者は、居ない。

教皇「これより貴様を四○年ほど空転させる。ユダの陥った『己自身に対する孤独』を長く味わい、その未熟な精神を今一度研磨し直すが良い」

何百年と、そんな孤独に浸ってきた。
そうして臆病になり、たった一度のチャンスを逃した。
精神が未熟だというのは、認めてもいい。
だけれど。
この行為だけは、誰にも止めさせない。
これは、正しく弔ってもらえなかったテッラへの、手向けなのだから。

一三面体の中で、棒立ち状態のフィアンマの唇が、僅かに震えた。

教皇「やめておけ。曲がりなりにも私は教皇。今ここで振るう力とは二○○○年の時を経て、二○億もの信徒を支え導く神聖なもの。一人二人の傲慢で振り切れるようなものではない」

聖ピエトロ大聖堂は旧教勢力圏の中でも最大最高の要塞だ。
バチカン市国そのものが、ローマ教皇を何重にも補強する巨大霊装として機能する。

フィアンマ「ふん」

傲慢なのはどちらの方だ、とフィアンマは思う。
最早『神の右席』の下に置かれた傀儡が、『右方のフィアンマ』に意見すること自体、間違っている。

自然な調子で、フィアンマは言う。






フィアンマ「残念だが……たった二○億人、たかが二○○○年ではな」


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