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2012/07/24(火) 12:55:13.38 ID:d42ujU9K0
「へっ!」
「「「佐天さん……?」」」
唾を吐き捨てるような肉たれ口を放つ佐天。
軽く凹んでいた佐天を心配そうな面持ちで見ていた友人たちは置いてけぼりをくらう。
さっきまで少ししんみりしてしまっていた空気は何処へ行った。
行方不明になるには早すぎではないか。
「どーせどーせ、私は馬鹿ですよー!
どーせどーせ、人の三倍勉強してもこの程度ですよー!
いーもんいーもん、三倍で足りないなら五倍十倍泣きながら勉強してやるんだからーっ!!」
さよならバイバイ元気でいてね、夏休み。また来年、ねっとりたっぷり逢瀬といこうぜ。
うがああああああ、とうめきながら心の中で愛しいマイダーリンに別れを言って。
気分はさながら天の川に居る織姫だ。
一年後の再会に想いと願いを馳せて織姫(佐天)は地道に機織り(受験勉強)に精をだそうではないか。
「御坂さん!」
「ふぁいぇっ!?」
名前を呼ばれた美琴は、突然の対応しきれずに中途半端な声を出した。
恋愛面以外でこんな素っ頓狂な声と面をする彼女は、貴重だったり、なかったり。
「これからも、ご指導ご鞭撻お願いしますね!」
『開き直った女は強い』
そんな言葉を残したのは誰だったろう。
今頃第五学区で真っ白になったジョーみたいに灰になった金髪大学生だった気もする。
今の今まで確固たる自分自身の実力を形成している友達らに、
丸裸になるまで努力する姿を見せるのは気恥ずかしくて言えなかったり、 結果が出てから驚かせたかった見栄もあった。
『受験だから勉強を教えてほしい』とだけ言い、ひたかくしにしていた『霧ケ丘への受験』であったが……、
(ばれてしまった以上は仕方ない)
試験を簡単に突破する当ては無いと知り、
形振りかまう間柄でもないか、と今更ながらに思考転換をした佐天は、
「神様仏様御坂美琴様! 私を霧ケ丘に連れてって!」
今まで以上に、スーパー家庭教師御坂美琴(十六にして大学卒業レベル)に勉学のアドバイスを要求するのだった。
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