過去ログ - 超電磁砲は夢をみない
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2012/07/24(火) 13:13:44.41 ID:d42ujU9K0

「お姉さまは、私が長点上機に進学するのに、反対なのですか?」

「え? なんでさ」

「なんでって。『本気?』なんてお聞きになるから、てっきり」

「……言葉のあや?」

「自分で発言なのですから、疑問系で返さないでくださいまし」

まあ、折角の機会ですし、と白井が続けた。

「黒子は決して、盲目が故に長点上機にいくのではありません」

美琴が眺める空を白井も眺める。

「お姉さまが居るから私も――、と。焦がれる一つの背中を追うために選んだのではありません」

重なる言葉は強い意志の表れ。

「能力がなくとも、特出した一芸さえあれば入学が許される学校と聞き及んでいます。
 言い換えれば、「実力」がなければ早々に蹴落とされる、強者のみが居る学校ともいえる長点上機学園(ソコ)でならば、
 こうなりたい。 こうでありたいと願う『白井黒子』に、成れる気がするのです」

いつの間にか耳を占領したのは、少女の澄んだ決意の紡ぎ。

「そっか」

美琴は顔を固定したまま、それでいて、いつもの口調で切り返した。

「黒子は強いね」

きっと白井の眼はありのままの空を素直に映しているだろう。
現実の空を眺める白井を羨ましくも思い、虚空ばかりを追う自分に苦笑ばかり浮かぶ。

「まだまだですわ。たどり着きたいと切望する、スタートラインにすら立てていません」

「スタートライン?」

「お姉さまにも、これだけは、秘密ですの」

「あらー、残念」

「と、思っているのならば、もう少し残念そうな顔をして欲しいものです」

「ごめーん」

軽口の言い合いには慣れた間柄。
トントンと会話のキャッチボールのテンポが良いと、爽快感さえ生まれて。
これもまた共感覚性と言えなくもないだろう、と新たな認識も生まれて。

「真夏の空、だねえ」

「真夏の空、ですわね」

そうして、決して『今』も悪くはないのだ、と気づかされる一方、

(悪くない。悪くないのに)

金平糖が散らばった痕跡すらも見つけられない青のキャンバスに、
『昔』に引きずられてありもしない痕跡を探すために真昼の空ばかりに視界が奪われていく矛盾に、

こっそりと、胃液が沸きそうになった。



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