86:1[saga]
2012/12/28(金) 20:33:37.84 ID:m2EwShjO0
『ペンネーム匿名希望10032号ちゃん、ね。
……長ったらしくてめんどーなので、以後、『匿名希望ちゃん』って呼ばせてもらうな。
【いつもラジオ楽しみにしています。】
ありがとー。
【あなたの自称キレ味のある毒舌、もとい、愚痴交じりのヘタレ口調に地味に癒されています。
と、匿名希望10032号はラジオを聴いて日々思っていることを嘘偽りなく伝えます】
……わーお。俺ってばイジリキャラのつもりだったけど、実は癒し系だった的な? ははっ……』
電源をつけっぱなしのラジオから、つつがなく進行している番組が流れてくる。
男性パーソナリティの声が一段階低くなったのは、たぶん、お便りの送り主からの言葉のボディブローがもろに刺さったから。
「むぅ」
閉じられていた少女の瞼がかすかに開いた。
たどたどしい視線で音のしたほうへを見やる。
「とーま?」
「うん」
「いま、なんじ?」
「12時を過ぎたくらいだ。おこしちまってごめんな。もう日付が変わる時刻だってのに」
「……ねないの?」
主語がかたっぱしから抜けている。まだ意識の半分以上は眠気に負けているようだ。
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