過去ログ - 弟子「そ、某を、是非とも弟子に!」剣士「めんどくさすぎワロタ」
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44: ◆ClmoeYz2r6[saga]
2012/07/27(金) 21:46:46.73 ID:N+Z7/Leeo
女侍「…………」

??「…………続きは?」

女侍「…………娘が見つけたとき、剣客は貧民街のさらに端、ぼろぼろの、小屋と呼ぶにも怪しい家に住んでおりました」

女侍「傾いた戸を開けると、ゴミと埃、虫が這い、悪臭が漂う……」

女侍「その部屋の真ん中で、剣客は酒に溺れ、壊れておりました」

女侍「娘に、殺した娘の両親の面影を見たのでしょう。見るなり二人の名前を呼びながら、涙と鼻水とよだれを流して、命乞いをしてきました」

女侍「『許してくれ、許してくれ。殺した奴らの顔と声が離れない。助けてくれ。許してくれ……』」

女侍「…………馬鹿みたいな話です」

女侍「こんなものを斬るために、辛く長い稽古に耐えてきたのかと思うと、情けなくなりました」

女侍「…………娘はとうとう仇を斬れず……そして、剣を振る理由を失いました」

女侍「ひたすらに、ただそのためだけに腕を磨いた十数年が、無駄になったのです」

女侍「……剣客の雇い主の政敵は、酒色に溺れて既に死んでおりました。もしかしたら、あの剣客と同じ幻覚を見ていたのかも知れません」

女侍「それから、娘はたまに養父に手紙を出す以外は関係を断ち、国から国へ流れて放浪をし始めます」

女侍「違う国に行けば、この空しさから逃れられるかと思って……」

女侍「剣で名を上げるでもなく、何かの役に立つでもなく……ただ、流れるだけ流れて……」

女侍「そして、娘は世界一と称される剣士に挑みます。その名声などには興味が無く、ただ……」

女侍「そう、ただ……世界一と称される剣士に斬られて死ぬのなら、それもよいだろうと思っただけです」



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