10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage saga]
2012/07/29(日) 22:07:02.35 ID:N4eJhi1r0
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それから数週間、元より週休六日を掲げて商売しているデビルメイクライには依頼なんて来る筈もなく、皆思い思いに暇潰しをしていたのであるが、元は騎士団に所属して多忙な日々を送っていたネロにとって、その期間は苦痛で仕方がない日々であった。
加えてデビルメイクライの財布の紐はネロが握っていたから、今のままでは家計が火の車になることも彼は知っている。
気晴らしにポケットマネーで服でも買いに行こうかと思っても、外では殺人的に眩しい太陽が照っている。
一歩外に出ようものなら汗が吹き出すし、何よりも入ってきた熱気に対してダンテ達がブーイングをしてくるのだ。うざくて仕方がない。
だからといって家に引きこもっていても、クーラーをつけるための電気代が嵩むばかりであるから、この暑さのなか途方に暮れるしかないのだ。
仕事さえあれば、と思い続けて早一週間。
そろそろ暑さによるネロの苛立ちも限界に達して噴火寸前である。
「ネロ、大丈夫か?」
「あぁ。どうにかな」
ネロは初代が差し出してきた水を並々と注いだコップを有り難く受け取って、一気に煽る。
「だから、クーラー無しの生活はやめとけって言っただろ?」
「うるせー、仕事も無いし金もない。クーラーつけるための金なんかどこにもねえんだよ」
同時に今日は、ネロがクーラー禁止令を下してからも一週間が経っていた。
じゃんけんに負けた初代と、クーラー禁止令の言い出しっぺのネロ以外の奴らは、涼しさを求めて外に逃亡している。
恐らく近くのレストランにでも避難しているのであろう。
彼らが出ていって直ぐに羨ましい、とぼやいた初代に「行っていいぞ。店番は俺がしてるから」と半ば生気の抜けた顔をして言ったネロは、なんだかんだ言いながらも持ち前の面倒見の良さからなのか出ていかない彼に感謝した。
多分、一人なら精神的に死んでいた。
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