過去ログ - 照「清澄にも麻雀部はあるのか・・・」【咲-saki-】
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509:tell you that I love ...(8-1)[saga]
2012/10/04(木) 23:56:42.63 ID:eNqBZcmV0
「咲ちゃん、待って」

早歩きする咲ちゃんに声をかけると、咲ちゃんは止まって振り返ってくれた

「松実さん?」
「宥でいいよ」
「じゃあ、宥さんで」

キョトンとした咲ちゃん
夢中になって追いかけてきたけど、面と向かって話すのは初めてだったかもしれない

「呼び止めてごめんね」
「いえ、それで何でしょうか?」
「どうして、±0にこだわるの?」

咲ちゃんはまたキョトンとする

「私は3万点以上マイナスですよ?」

そういう返事が返ってくるとは思っていた
でも、実際に対局していた私が、一番よくわかる

「じゃあ言い方を変えるね。どうして私の点数を調整したの?」

私の点数は105500点
普通の25000点持ち30000点返しだったら30500点だから、±0になっている

咲ちゃんはわざと私の振り込みを防ぎ、カンドラで支援し、支援しすぎた分をけずってあとは局を消化した

「・・・私、よく分からないんです」

咲ちゃんが困惑の表情を浮かべた

「±0のことは、お姉ちゃんから聞いたんですか?」
「そうだよ。この対抗戦、ずっとそうしてたよね?」
「自分を守るために、±0で打つようにしてきました。意識すればなんとか普通に打つこともできますけど、それだと負けることの方が多いから・・・。それにその方が無理して打ってる感じがして、疲れるんです」

普通に打って負けるくらいだったら、±0で打ったほうがいいのかもしれない
少なくとも、負けはしないのだから
咲ちゃんがそういう考えに至っても、仕方ないことのように思えた

「今朝のミーティングで、赤土先生から聞きました。3年1組が他のクラスから狙い撃ちされるだろうって」
「うん、照ちゃんが出る前に中堅までで飛ばすなり削るなりするのは、作戦としては当然だと思うよ」
「でも、私はお姉ちゃんが打っているところが見たくて・・・」

だから私をかばい、調整した
クラスの勝利が遠くなることが分かっていながら・・・

調整する麻雀しか、できないから?

「でも、自分以外の誰かを±0にするなんて、今までやったことがなくて。すごく難しくて、他の2人もすごく強いから、自分を犠牲にするしかありませんでした」
「そっか・・・」

多分照ちゃんだったら、もう声を荒らげているかもしれない

私たちのクラスを甘く見るなって
どうして自分の勝利を目指さないのって・・・

うん、分かるけど落ち着こう、照ちゃん
咲ちゃんに悪気はない。ただ、誰かが勝って喜び、誰かが負けて悲しむ――そんな感情の行き交いに耐性がない故の行動、そんな行動を責めてもきっと逆効果なだけ

「咲ちゃん。これが個人戦なら、私は何も言わないよ。でもこれは団体戦。勝負は、咲ちゃん一人のものじゃない」
「ほんと、そうですよね・・・」

俯き、視線を落とす咲ちゃん
咲ちゃんの後ろには、穏乃ちゃんや憧ちゃん達が控えている
咲ちゃんが失った点棒は、咲ちゃんだけのものではない

だから、取り返さなきゃいけないんだよ


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