過去ログ - 【咲】京太郎「夏休みだ……」【安価】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲】京太郎「夏休みだ……」【安価】

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883: ◆wQz2C0W.uk[saga]
2012/08/11(土) 21:08:21.33 ID:P6CAd6Q00

　……昔も、そればかりしていたのかもしれない。

　シロと出会った最初の頃の自分も、ひょっとしたら―――

　トシ「……まったく、シロの奴も過大評価し過ぎだ。自分がそういう人間だって、解ってる筈なのに」

　胡桃「え……」

　トシ「……正直、私にはアンタ達にどんな絆があるのかとかは判らない。私は過去しか解らないから」

　日常はほんの目の前で広がっている。

　現在、空中に投げるタイプの花火に苦戦しているらしい。今回は塞も判らないようで、悪戦苦闘している模様。

　……そういえば。昔、家族であんなものを投げたような気がする。

　トシ「だけどシロも、京太郎も、豊音も、塞も、もちろんアンタも。……何も変わらない。子供らしく夢を見て、追い駆けて。たまに色恋にも手を出して、青春を味わう。……そんな、どこにでもいるような――そんな子供だって事は解るよ」

　胡桃「あ――――」

　トシ「もうちょっとぐらい、楽にやりなよ。失敗なんて幾らでもするだろうけどさ。アンタも、そこまで仲間の失敗を気にしてないだろう？」

　トシ「……じゃ、気分が乗ったら参加しなさいな」

　京太郎「トシえもん助けて！」

　トシ「―――え、私？　いや、あたしは無理。線香花火ばっかりやってたし。え、娯楽の無い時代？　残念でした、それを埋めていたのが麻雀です。そういえば昔白髪のガキと当たったけど、クッソ強かったなぁ……」

　……目の前の、なんでもない日常を見詰めると同時に昔々の、十にも満たない頃の記憶が蘇る。

　あの時、私はあの花火に怯えつつも挑戦して、親の言葉も聞かず思い切り投げていた。

　成功した時はもちろん親から少し叱られたが、それでも嬉しかった。

　―――それに苦戦している彼等。そして、夕暮れで見た怯える子供のような表情を思い出す。

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