過去ログ - 春香「リボンを結んで」〜オーソドックスガールズストーリー〜
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42:1 ◆6VUvxtY276[saga]
2012/08/01(水) 21:56:49.61 ID:WI1DiE0Q0


「佐野さんはねえ亜美ちゃん、私と同じとしの、歌がとっても上手なアイドルさんなのよ。表舞台から
 いなくなっちゃったけど、今でも千早ちゃんより上手だって言う人もいるわ〜」

「千早お姉ちゃんより上手なの!?スゲーッ、そんなアイドルいるんだー!!」

 亜美が興奮気味に話す。俺も千早以上のボーカリストなんてちょっと想像出来ないが、彼女を知る人は皆、
歌だけなら佐野美心は日高舞に匹敵すると言っている。そんな彼女を千早が意識しない筈がない。

「またずいぶん古い名前が出て来たわね。そんな化石みたいなアイドル出して、どうして千早を説得する
 ことが出来たのよ?」

 おいおい、佐野さんは業界からはいなくなってしまったけど、老人ホームや刑務所の慰問でまだ細々と歌って
いるぞ。それから化石って言ってやるな。あずささんの笑顔が引きつっているのに気付いてないのか。

「佐野美心は一点特化型のアイドルの台頭する業界に愛想を尽かせていなくなってしまったからな。今の
 プロフェッショナル至上主義の夢のない業界を変えることが出来れば、また彼女のようなアイドルが
 帰ってくるかもしれないと社長は言ってた。俺もそう思う」

 ボーカル特化型の『ボーカリスト』、ダンス特化型の『ダンサー』、ビジュアル特化型の『ファンタジスタ』
など、彼女達は既にアイドルというよりはそれぞれの道のプロフェッショナルである。その道を究める為に他の
ふたつを切り捨ててひたすら突き進む彼女達は、技量が上がりすぎてもう既に気軽に応援できる存在では
なくなってしまい、それが業界が衰退する要因のひとつになってしまった。

「確かに昔と比べて、今はアイドルの子達もピリピリしてますものね〜。そんな業界が嫌になって辞めた子達も
 いっぱいいたわ〜。私は今の流れに合わせて何とかまだ続けているけど、律子さんも私が楽しいアイドル業界
 を復活させないと!って言ってプロデューサーになっちゃいましたし〜……」

 あずささんが捕捉する。そしてこの流れは、ファンだけではなくアイドル自身も苦しめている。プロ志向が
先行したことでアイドルの間でも技術優先の競争が激化し、ついて行けない子達はどんどん脱落していくのだ。
一昨日、一斉に辞めた候補生の子達を思い出す。アイドルに夢を見て入ったのに、いざ内部を知ると殺伐とした
弱肉強食の世界だったら嫌気がさすよな。




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