過去ログ - 友「俺明日旅立つわ!」僕「えっ」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:25:26.75 ID:vIzBvvPJ0
「行って、きます」
誰にともなく呟く。
空は紺碧。
恐怖を覚える程に広い空の下、砂漠を駆ける影が一つ。
街はどんどん遠くなる。
後ろは振り返らない。
振り返ってはならない。
それはルールだった。
この街の掟。
前だけを、見据えて。
さよなら。
…さよなら。
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:26:49.25 ID:vIzBvvPJ0
街は彼を見送る。
街には大きな門が一つ。
その門の遥か上部の壁面は、不釣り合いな程に立派な細工を凝らした装飾で街の名前がくり抜かれていた。
いつ誰が作ったものなのかさえ定かではない。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:27:35.84 ID:vIzBvvPJ0
街の中心部。
ふぁぁ、
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:28:25.91 ID:vIzBvvPJ0
慢性的な退屈を抱えた彼の視界の中に、息を切らして走る少年の姿が飛び込んで来た。
あっ、あいつ、また来やがった。
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:29:13.63 ID:vIzBvvPJ0
少年の姿は目前に迫っている。
おう、来るなら来い!
そう簡単に突破されてたまるか!
いくらあいつが運動神経抜群だったとしても!
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:30:09.79 ID:vIzBvvPJ0
「ここは通さねぇ!!!」
「あっ、今日は正式に通りたいんだけど」
「正式?ふざけんな!散々強行突破しといて何言ってやがる」
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:31:00.20 ID:vIzBvvPJ0
「おっちゃん、今日は正式に通して貰うよ。ーほら。通行証。」
「…これは…本物だな」
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:31:49.23 ID:vIzBvvPJ0
そう言うと少年は再び走り出す。
忙しない奴だ。
門番はため息をついた。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:32:39.81 ID:vIzBvvPJ0
「おーい!いるかー?」
研究所で専門書を読み漁っていると、聞き慣れた声が耳に届いた。
ちょ、どうやってここに?
また門を強行突破して来たの?
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:33:19.67 ID:vIzBvvPJ0
次の瞬間、僕の所属する研究所の窓から、勢いよく飛び込んで来る友人の姿があった。
ーいやいやいや、何でそんな所から来るんだよ。
推定何mあるんだか。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:34:20.32 ID:vIzBvvPJ0
この街は、円状の街を真ん中から半分に割るように壁が建造されていて、そこに門が1つだけある。
そこには門番が常駐している。
何でそんなふうに街を二分する必要があるのかと言うと、
複雑な事情があるらしいけど、
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:35:06.45 ID:vIzBvvPJ0
この街は、1つの街の中に2つの派閥がある。
1つは戦士たちの派閥。
もう1つは学者たちの派閥だ。
それぞれ生活は独立していて、それぞれ内部で自給自足が成立している。
もちろん、どちらの派閥にも属さない普通の人々が殆どで、そういう人達は普通に門をくぐって行き来して生活しているけど。
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:35:52.84 ID:vIzBvvPJ0
両者が目指すものは同じ筈なのに、なぜそうなってしまうのか。
僕が思うに、どちらにしろ理想論者だ。
どちらにしたって、方法が異なるだけで、結局同じものを探している。
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:36:36.98 ID:vIzBvvPJ0
友「なぁ、これ見てくれ」
僕「…これは…」
友「ああ。とうとう選ばれた」
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:37:21.80 ID:vIzBvvPJ0
この街では、何年かに1度、1人が選ばれる。
戦士と学者の派閥が協力し合う唯一の機会。
両派閥の中から1人だけを選び、外の世界へ旅立たせる。
冒険を強く希望し、体力や精神力を十二分に持っている事。それを条件に、街の偉い人達が厳しく審査をする。
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:38:12.04 ID:vIzBvvPJ0
友「明日出発するんだ」
僕「明日!?」
友「だからさー、ちょっと付き合ってよ」
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:39:39.43 ID:vIzBvvPJ0
友「あははははは!すげー高いな!すげー」
僕「いやムリ高いコレやばい」
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:40:27.88 ID:vIzBvvPJ0
僕は、彼の助けになりたかった。
同い年で、隣同士に生まれて、兄弟みたいに育って。
同じ夢を見た。
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:41:08.05 ID:vIzBvvPJ0
数十分前。
友「外壁登って向こうまで歩くぞ」
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:41:55.04 ID:vIzBvvPJ0
友「下ばっか見んなよー」
僕「そんな事言ったって…」
友「ほら、横見てみ?上見てみ?空がいつもより近いし、一面に続く砂漠が見えるぞ」
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[saga]
2012/08/03(金) 21:42:45.33 ID:vIzBvvPJ0
友「おっ、今俺たちは境界線を超えたぞ」
僕「ほんとだ…久しぶりだな、こっち側」
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