過去ログ - 禁書目録「それはきっと、幸せだった頃の夢」
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100:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/13(水) 02:02:42.11 ID:BHe6DKP7o
「……」

喧騒に混じって「売り切れ」「楽しみにしてたのに」「目の前で」「あんまりだ」などという呟きが断片的に聞こえてくる。
彼女の後ろには順番待ちの大渋滞が起きているのだがお構いなしだった。

どうりで自分の後ろに誰も並ばないはずだ。
世の中には不幸な奴もいるもんだなあと他人事のように(実際他人事なのだが)思いながら心の中で合掌しておく。

他人事ではある。が、知り合いでもある。
同学年別クラスだが、合同授業などで一緒になる。
放課後一緒に遊びに行ったりという親しい付き合いはないものの、廊下で会えば他愛のない雑談をする程度の仲だ。
しかしそこまで食い意地の張った性格だとは思わなかった。

こういう手合いは同居人の白いシスター一人くらいなものだと思っていたが、学園都市の人口は実に二三〇万。
その中には似たような食欲の権化みたいな奴がいてもおかしくはないのだろう。身近にいたのは驚愕の事実だが。

そして、年頃の少女が臆面もなく泣き崩れるほどにも魅力的なおかずだったのかとメニューボードへと目をやれば、

(A定は唐揚げかぁ……)

もはや多くを語るまでもない定番の人気メニューだ。

だが日替わり定食と言えどその分回転は早い。
元より学食、そこまで多くのレパートリーを持つわけではないのだ。
これが常盤台だの長点上機だのといった名門校(という区分の金持ち学校)ならいざ知らず。
路傍の石にも似たこんな無名の学校にまで望むべくもない。

だから早ければ来週、そうでなくとも再来週にはまた唐揚げのターンが来るはずなのだが、それをここまで大仰に嘆くというのはいかがなものだろうか。


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