過去ログ - 禁書目録「それはきっと、幸せだった頃の夢」
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109:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/23(土) 20:38:47.72 ID:L/r+qrj2o
香ばしい味噌の香り。どこか郷愁を感じさせるこの匂いに自分は日本人だということを再確認させられる。

鯖の味噌煮という料理は日本食を代表する一品だろう。
寿司だの天麩羅だのという代表的なものではない、非常に地味なものだ。
けれど日本という文化と風土が色濃く出ている。
日本の食文化では味噌と醤油は切り離せない調味料で、それに豊富な海洋資源を表す鯖が組み合わさり最強に見える。
炊き立てのご飯に乗せて頂けばそれだけで箸が進むというものだ。

もっとも、今それを体現しているのは黒髪黒目のごくごくありきたりな日本人の少年であるところの上条当麻ではなく、
金髪碧眼に陶磁器のような白い肌を持つあからさまに西洋人の少女、フレンダ=セイヴェルンなのだが。

「あー、これよこれ! 結局、サバといえばこれよね、味噌!
 生姜煮なんかもいいけど、私としてはやっぱり味噌がベストな訳よ。
 竜田揚げとかトマト煮とかカレー煮とか色々あるけど、王道に勝るものなしってとこね。サバ味噌最高ー!」

器用に箸を操り柔らかく似られた身を分解しては口に放り込むという作業を絶えず繰り返しながら金髪の少女は世話しなく喜びを表現する。

横でその様子を見ていた上条は、唐揚げ定食を食べつつ何やら既視のようなものを感じるのだった。

「なんで俺の知り合いのこういう連中ってみんな食い意地張ってんだろうなぁ……」

「は? 何、今結局聞き捨てならない言葉が聞こえた気がするんだけど?」

底冷えするような声に周囲の学生たちがビクッと肩を震わせる。
半眼でにらんでくるフレンダは何やら恐ろしい量の殺気を発していた。

「イイエナンデモナイデスヨキットキノセイデスヨ」

殺気が物理的攻撃力を伴っていたなら多分即死だった。
条件反射で箸を持った右手をかざしそうになるのを堪え上条は味噌汁をすする。


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