過去ログ - 禁書目録「それはきっと、幸せだった頃の夢」
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[saga]
2012/08/06(月) 02:28:55.94 ID:OTk9gfUao
「さてと……」
向いた先は一見何の変哲もない通路壁。漆喰が剥がれて下地のレンガが露出しているだけ――に見えるけれど。
「ここですか?」
「そうよ。アンタこっちから来たことなかったっけ」
首肯の代わりにぽんぽんと金髪を叩き、それから少し考えて、悪戯を思いつく。
「じゃあ、ちょっとテストしよっか」
「へえっ!?」
素っ頓狂な声に私は意地悪に笑って、けれど彼は優秀な生徒だから、きっと即答してくれるものと思っている。
今週の開錠キーは確か……。
「――イザヤ書、24章14節」
「ええと……」
私の言葉を彼はすぐに理解したのだろう。思案顔を浮かべるものの両手をレンガに当て、記憶を探るように目を瞑り。
彼らは声をあげて喜び歌う 神の威光のゆえに、西から喜び呼ばわる
「――Hi levabunt vocem suam, laudabunt maiestatem Domini, hinnient de mari」
「正解ー♪」
私の声に輪唱するように、ごとりと重い音がした。
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