過去ログ - 禁書目録「それはきっと、幸せだった頃の夢」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]
2012/08/06(月) 02:38:45.14 ID:OTk9gfUao
うわぁやっちゃった……と頭を抱え恐る恐る扉の影を覗き込んだ。
「ええと、そのう……ごめんなさい?」
「いや、全然、大丈夫だ。
扉があるのに誰かが開くかもしれないと思わなかった私にも非はある」
そう言いつつもよろめくように姿勢を正したのは背の高い茶色い髪の少年だった。
……見覚えはない。
どこか別の地域にいた魔術師だろうか――そう思い、
「う……」
まさか――と最悪の予想が脳裏をよぎった。
そんな私の頭の中など知るよしもなく、彼は軽く腰を落とし床を見回す。
「物珍しかったのでつい探検してしまった。
自然、足の向くままに歩いていたらこんな下層に来てしまったのだが――」
ぶつかった際に落としたのだろう、真鍮フレームの眼鏡を拾い掛け直すと、彼は私に柔らかく微笑んだ。
「偶然、それとも神の導きというやつか。ちょうどよかった」
続く言葉は私の嫌な予感が的中していることを告げるものだった
「『隠秘記録官』、アウレオルス=イザード。
ローマ正教より出向している。……怡然、君かな。私をエスコートしてくれるというのは」
……これがもし必然だというのなら我らがカミサマというのは随分と悪戯がお好きなようだ。
聖夜の奇跡というにはまだ一日早いわよ。
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