過去ログ - 禁書目録「それはきっと、幸せだった頃の夢」
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[saga]
2012/08/07(火) 23:05:48.62 ID:Wiz6b3VDo
アウレオルスの口からそれ以上の言葉が紡がれることはなかった。
「――メリー・クリスマス」
視線の先、たたずむ『彼女』は両の碧眼を細め微笑んだ。
たったそれだけ――なのに私達は誰一人、聖人と呼ばれる神裂でさえも、一言も発せず、一歩も動けなくなる。
ただ呆然と彼女を見つめる他に許されない。
さながら聖女を前にした竜のように、身震い一つできず立ち尽くすしかなかった。
それほどまでに彼女の笑顔は優しく、神聖で――『真っ白』だった。
「こんばんは、始めまして」
黒い空から雪が降る中、寒風に身を震わせることなくたたずむ彼女は。
一切の物怖じをせず、幼い顔に無垢な笑みを浮かべ。
「私の名前は――」
鈴を転がすような声に重なるようにロンドンの夜に音が響く。
十二時を告げるウェストミンスターの鐘。
日付は変わり、十二月二十五日。
「インデックスっていうんだよ」
――それが、私達の出会いだった。
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