過去ログ - 禁書目録「それはきっと、幸せだった頃の夢」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]
2012/08/05(日) 15:11:52.08 ID:lWtW5yhzo
「――あっ!」
聖堂での一仕事を終え、普段の参列者は見る事のない教会の舞台裏。
修道士たちの集まる談話室に戻ってきた私にさっそく声を掛けてきたのは、いい加減見慣れた少年の顔だった。
「お疲れ様です」
流れるような金髪に鳶色の瞳。天使のような笑顔を惜しげもなく私に向けてくる。
まるで飼い主にじゃれつく子犬のようだ……なんて言うと彼は可愛らしく頬を膨らませて抗議するのだけれど。
「はいはいお疲れ。……んで、結局なんでアンタ私よりも早いの?」
「それはもう、居ても立ってもいられなかったので」
「大人しく座っておきなさいよ……ミサはまだ終わってないでしょ?」
半ばぞんざいに彼を扱うようだが、どうか許してほしい。珍しく私は照れていたのだから。
この頃の私は、まだどうにか年相応の精神年齢を持ち合わせていて、でも半分くらいは諦観のようなものを抱き始めていた。
だから、そう。
「さっきの賛美歌、すっ――――ごくよかったです!」
そんな風に目をキラキラさせて力説するものだから私は彼から目を逸らさずにはいられなかった。
……そうでもしないと、思わずこの可愛い生物を抱き締めて頬にキスでもしてしまいそうになるのだ。
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