過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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131:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 22:47:27.32 ID:4DOG5YTr0
「おまえ、将来のことをちゃんと考えてるんだな。
俺なんて、高校だってどこ行くか決めてないのによ・・・」

「そんなことねぇよ。
俺だってちょっと前までは、これからのことどころか、
どうして俺たちにこんな理不尽なことばかり起こるんだと、
そればかり頭の中が堂々巡りして、ずっとイライラしていたんだぜ。
姉貴が死んだのは、クラスの榊原のせいじゃないかと思ったし、
今だから話せるけど、あいつに殺意が湧いてきたことだってあった。
そんな自分がつくづく情けなくなって、
これまでのそんな嫌な自分と訣別するためにも、
これからはしっかり将来を見据えて、前を向いて生きよう決めたんだ」

「水野・・・」

俺たちはクラスメイトの仲間の死を嫌と言うほど見てきた。
そして俺たち二人が参加しなかった合宿で、大勢の犠牲者が出た。
人の命を救う仕事をしていた姉の後ろ姿を見ていた水野は、
何もしなかった、何もできなかった自分に、
激しく後悔しているのではないだろうか?
単に姉の夢を受け継ぐだけじゃない。悔いを残さぬ生き方をしたい。
水野の言葉には、そんな意志が込められているように感じた。

それに引き換え、災厄が起きても何もせず、
終わった今でも、毎日惰性に流されて生きている自分。
今の水野の姿が、どこか大人びて頼もしげに見えれば見えるほど、
俺はただ一人、置いて行かれた取り残されたような寂しさと不安に駆られた。

そろそろ、俺も自分を変えなきゃいけないのかな・・・?
そんなことを考えながら、
俺は名前の通り綺麗な夕焼け空を見つめながら、帰路に就いた。



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