過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 21:16:25.17 ID:4DOG5YTr0

二日後、僕は学校を無断で欠席した。
そして僕は今、斎場に向かって自転車を走らせている。
カゴには通学カバンと、新聞紙で包んだチューリップの花束・・・
先月、榊原君のお見舞いに行った時に買った、
あの店のチューリップが入っている。

手向けには不釣り合いだということはわかっている。
それでも、やっぱりこの花をゆかりに捧げたかった。
花言葉の通り、思いやりと博愛に満ちた彼女へ。

斎場の場所は聞かされていた。
夜見山は小さな町なので、自転車でも充分行ける距離にある。
朝早くから準備が始まっているので、
着く頃には果たして間に合うかどうか。

斎場に辿り着いた時は、なんとかまだ始まる前であった。
花束を手に、僕は職員たちの間をかいくぐりながら、棺のある会場内へと向かう。
と、僕は後ろから声をかけられた。

「君は、夜見北の生徒かい?」

「はい。桜木・・・ゆかりさんのクラスメイトで、
共に学級委員を務めていた風見と申します」

この人が誰かすぐにわかった。
この葬式の喪主である、ゆかりのお父さんだった。
そしてゆかりのことを、口に出して名前で言ったのは、これが初めてだった。
今までずっと「桜木さん」と呼んでいたから。

「すみません、許しもなく、勝手に出向いてしまって・・・」

慌てて頭を下げる僕に、ゆかりのお父さんは半ば無理して微笑みながら、

「いやいや、こちらこそ勝手に身内だけで行うと言ってしまったからね。
にも関わらず、こうして娘の死を悼んで来てくれるとは、むしろ感謝しているよ」

「いえいえ、こちらこそ突然お伺いして・・・」

と、互いに謙遜の言葉を交わし合う内に、
ゆかりのお父さんは、僕が持っている花束に気づいたようだ。


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