過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 21:17:48.63 ID:4DOG5YTr0

天井も窓も、床も全てが深紅に染まっていた。
いや、それだけではない。空も地もありえない位、真っ赤な世界だった。

「ここはどこだ・・・」

奥の方はどす黒くて、何も見えない。しかし、うなるような声が聞こえた。

「憎いだろう、災厄を・・・」

「誰だ!」

思わず返事した僕にかまわず、声の主はなおも語りかけてくる。

「殺された。ゆかりは殺されたんだ・・・」

「なっ!!!」

いきなり何を言うか、と思った矢先、
僕は何かにつまずいて転びそうになった。
慌てて足下を見ると、
そこには首だけではなく、全身血まみれになったゆかりの死体が転がっていた。

「ひぃっ!!!」

慌て目をそらすと、目の前には、
同じように血まみれで倒れた勅使河原がいる。
こちらも断末魔を上げたままの如く、とても言葉では表せない形相で死んでいた。

改めて見ると、そこには何十もの死体が山のように積み上げられていた。
その顔にはいずれも見覚えがある。
全員、僕のクラスメイトだ。
皆、躰の至る所から血を流したまま、息絶えた姿で。

「何が起きたんだ・・・って、誰がこんなことを!?」

また奥から声が響き渡る。

「教えてあげようか、みんな殺されたんだよ・・・
災厄を呼び寄せた、『死者』にねぇぇ!」

語尾を強く荒げた声の主は、片手に血が滴る包丁を持ち、
後ろ姿で死体の山の頂点に立っていた。
その顔が振り向いた時、僕は愕然とした。
他でもない、返り血を浴びたその顔は僕そのものだったのだ。



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

僕はがばっと跳ね起きた。
なんと言うことはない。ここは僕の寝室だ。
真っ赤な世界など、どこにもなく、暗さで周りはよく見えない。
全身から汗が吹き出て、上半身は肩から胸にかけてぐっしょり濡れている。
息切れと動悸はまだ収まらなかった。

「夢だったのか・・・?それにしては・・・」

妙な質感を持った、リアリティのある悪夢だった。
これが何を意味するのか、今の僕にはわからなかった。

力が抜けて、僕は布団に倒れ込んだ。
全身にどっと疲れが重くのしかかる。
その晩、遂に僕は一睡もできなかった。


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