過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 21:20:46.94 ID:4DOG5YTr0

こうして、同じクラスとなった今でも大切な親友のことを思い出しながら、
私はこういっちゃんに、泉美のことを中心に教えてあげた。
『いないもの』の説明はできないから、
せめて、泉美の力となってクラスでもうまくやってあげたかった。

「だから、なるべくこういっちゃんも、協力してあげて欲しいな」

泉美のことを、まだあまり知らないのか「う、うん・・・」と
こういっちゃんが少し戸惑ったその時、
私たちが話していたすぐ隣のトラックから、突然ガラスの板が倒れてきた。

「うわぁっ!」
「危ない!」

驚く暇もなかった私を、こういっちゃんは庇うように抱きかかえながら、
地面に倒れ込んだ。
「ガッシャーン!」と耳をつんざくようなガラスが割れる音がして、
私とこういっちゃんが目をやると、
私たちがさっきまで会話していた場所は、
何百ものガラスの破片が飛び散らかっていた。

ふと、桜木さんの身に降りかかったあの惨事が頭の中をよぎる。
もし、こういっちゃんが素早く気づかなかったら、私たちはもしかして・・・

「嫌だ、嫌だっ。ヤダヤダ!死ぬのは嫌だーっ!いやぁぁぁぁぁ!」

恐怖が頂点に達した瞬間、私は子供のように泣き叫んだ。
怖かった。死ぬのが恐ろしくて仕方なかった。
しばらく呆然としていたこういっちゃんも、

「綾野さん、落ち着いて。ほら、しっかり!」

と何度も声を掛けてくれて、
ガラスの割れた音と私の叫び声が聞こえたのか、
付近の家の人達も、駆けつけてきた。
それでもなお、私は泣き止まなかった。
いや、泣くのを止められなかった。



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