過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 21:21:57.31 ID:4DOG5YTr0

◆No.25  Takeru Mizuno

最近、姉貴の様子がおかしい。

事の起こりはうちのクラス委員長、桜木ゆかりの死から始まった。
俺たちのクラスに代々伝わる3年3組の呪い。
当初は席が足りないという事態もないことから、『ない年』と思われたが、
転校生が3年3組に来たことによって事情は変わった。
念のため、事前に決めた『いないもの』を作ることによって、
呪いから逃れようとしたが・・・、結局はダメだった。

おかげで、クラスは桜木が死んでからというものの、
前にも増して、重苦しい空気で充満している。
無理もない。
今度は自分じゃないか?という恐れや不安で、
俺も含めて、クラス全員が既に押し潰されそうになっている。
そんなが中、よりにもよって、
姉貴がうちのクラスについて、首を突っ込むようになったのだ。

俺の姉、水野沙苗は三人姉弟の一番上で、末っ子の俺とは5つ違い。
今は夕見ヶ丘にある市立病院で看護婦として働いており、
毎晩帰るのが遅く、最近ではほとんど顔を合わせることがない。

いや、それ以前に姉貴とはろくに会話すらしていなかった。
姉貴は人の命を救う仕事をしているくせに、
登場人物がバタバタとグロく死んでいく、ホラー小説が大好きなのだ。
看護婦なのに、それでいいのか?姉貴は?

加えて、バスケ部に入って毎日躰を動かしている俺と、
インドア派の姉貴は、仲が悪いという訳じゃないが、
水と油のように相性がまるで合わず、
お互いの接点すらない状態が、ここ数年続いている。

ところがだ、
それまで、俺の周りに興味すら示さなかった姉貴が、
桜木が死んでからというものの、
なにかとクラスのことについて質問ばかりしてくるようになったのだ。
例えば、

「あんたのクラスでこの間死んだのって、桜木さんって人だっけ?」

「事故って聞いたけど、何があったの?」

とか、いちいち余計なことを思い出させるようなことばかり尋ねてくる。

「別に姉貴には、関係ねぇことだろ。やめてくれよ、そんな話」

と、言って何とか振り払うのだが、
こんなやり取りするだけでも、後から不安が押し寄せてくる。

『いないもの』を始めた時、米村が久保寺先生に質問していたが、
3年3組の呪いについて、家族には絶対話してはいけない。
他言無用ってやつだ。
もしこれを破ったら、家族にまで被害が広がるらしく、
卒業生の話によると、実際に前例もあったらしい。

だからこそ、俺は具体的な答えは一切しなかった。
俺自身が具体的に話さなければ、大丈夫だろう。
そう信じていた。

そんな俺の心境を知ってか知らずでか、
姉貴の質問攻めは激しくなる一方だった。

そして、桜木の死から一週間経った今日、
姉貴はより踏み込んだ質問を始めてきた。



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