過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 21:04:35.47 ID:4DOG5YTr0

風見智彦君。
まだ出会って二ヶ月も経ってないが、真面目でしっかり者の男の子だ。
ホームルームで委員長を選ぶ時に、私と風見君が選ばれた時は、
勅使河原君から、

「いかにも、ありきたりな委員長コンビだな」

と茶化されて、風見君が少しムキになったのを覚えている。

風見君は初めて会った時は、ちょっと子供っぽい感じがして
実際にはいないけど、弟みたいだなと思ったのが第一印象だった。
けど、一緒に仕事をし続けていると、彼の細かな気配りに
何度も助けられたような気がする。
私は、少しぼーっとしてうっかりミスをしやすいタイプなので、
そこを欠かさずフォローしてくれたことが何度もあった。

いつ頃からだろうか?
風見君と話をしたり、彼が笑顔を向けると
なぜか正視することができなくなってしまう。
自分でも時々、顔が火照ってしまう感触を実感する。

子供の頃から女の子の友達は多かったけど、
異性に対する免疫がほとんどなかった私は、どう接すればいいのかわからない。
ましてや、今の私は3年3組の対策係だ。
いわば、同志である風見君にそんな私情をはさむことなんか許されない。
そんなことも露知らず、微笑む風見君が
時々、小憎らしいと思うことさえあった。

会計を済ませた私たちは、夕見ヶ丘の市立病院に到着した。
自分たちとあまり年の離れていなそうな、若い看護婦さんに案内され、
私たちは、榊原恒一君との出会いを果たしたのだった。

「じゃあ、後はよろしく〜」

看護婦さんが行ってしまうと、沈黙を破るように風見君から自己紹介を始めた。

「僕たち、夜見山北中の3年3組の生徒です。僕は風見。風見智彦」

「は、初めまして。桜木ゆかりです」

「こっちは・・・」

「赤沢泉美」

少し遠慮がちな私たちとは対照的な、赤沢さんの直球的な物言いに、
また沈黙ができてしまった。

「えっとですね、僕と桜木さんはクラス委員長で、
赤沢さんは対策係で、今日は3組の代表としてきたんです」

再び風見君が説明をはじめ、私と赤沢さんも更に自分たちの紹介をした。

「えっと、本当は月曜から出てくるはずだったのが急な病気でって聞いて、
クラスの代表でお見舞いに行こうと話になったんです
・・・あのこれ、みんなから」

そう言って、私はチューリップの花束を榊原君に手渡した。

「あ、ありがとう」

榊原君の返答もどこかぎこちなかった。


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