過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 21:35:31.43 ID:4DOG5YTr0

そもそもこの二人がここにいる理由。
それは、先ほどの久保寺先生との会話を、三神先生が立ち聞きしていたようだ。
久保寺先生を見送って振り向くと、そこには、
何か物欲しそうな目をした三神先生がいたのだった。
かわいい。不覚にもそう思ってしまった。
同席している秋山先生は、さしずめ彼女のお目付役と言ったところか。
どうやら、私は秋山先生に警戒されてしまったらしい。

「宮本先生、そろそろお開きにしましょうか?
三神先生は私が家まで送っていきます。ほら、三神先生。立ってください」

「うーん、お姉ちゃん・・・」

秋山先生は三神先生を抱えるように支えると、
外に停めた車に乗せて、三神先生の自宅へ向かって走り出した。
後に残された私が、約束通り三人分の代金を支払うこととなった。
会計で精算を済ませたが、財布がまた寒くなる。
しかし、これも3年3組の副担任として頑張っている三神先生のためだ。

正直、今の私にはこれくらいしか助けてあげられることがない。
それすら断ってしまう久保寺先生にも困ったものだが、
生徒より先に、教師がダウンしては話にならない。
ここは長年、3年3組の相談役を務める千曳先生に力を貸して欲しいところだが、
あいにく千曳先生は、北海道にいる奥様のご実家の元におられ、
しばらくはこちらに戻ってこない予定だ。
千曳先生は災厄の対象からは外れているが、ご家族に災いが及ばないように、
こうして、夜見山に単身赴任という形で住んでいるのだと言う。

幸いにも、見崎と榊原の二人が『いないもの』となって以来、
新たな犠牲者は出ていない。
千曳先生が夜見山に戻ってくるまで、
いや、3月の卒業式まで何事もなければ良いのだが・・・
今はそれを願うばかりである。

私は『イノヤ』を出て、
まだ蒸し暑くならない、少しひんやりとした夜の街の空気に触れた。
この辺りも、前に比べて淋しくなったような気がする。
運良く、すぐにタクシーが見つけられるだろうか?
とりあえず、少し車の行き交いが多い大通りへ向かうことにした。



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