過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 21:39:16.46 ID:4DOG5YTr0
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
誰の悲鳴だったのかわからないが、これがきっかけで
固まったまま動けなかったクラスのみんなは、
呪縛から解き放たれたかのように、我先に教室から逃げ出した。
出入口に近かった俺は、前のめりになりながらも、
真っ先にこの地獄と化した場所から脱出することに成功した。
俺が出入り口の方を振り向くと、辻井や杉浦など、
比較的席の近い連中から順に、続々と廊下から飛び出してくる。
だが、廊下に無事避難したクラスメイトを数えてみると、
半分くらいしかいない。残りはまだ教室に残ってるのか。
まさか、久保寺はまだ死んでおらず、取り残されたやつらは襲われたんじゃ・・・
怖さを懸命に堪えながら、俺は恐る恐る出入口から教室を覗いてみた。
すると赤沢と望月が、
それぞれ机に伏したまま泣いている綾野と江藤を介抱しているのが見えた。
クラスの女子が他のクラスメイトを助けてるのに、
大の男の俺は、さっさと逃げ出して何やってるんだ・・・
「俺たちも行くぞ!勅使河原、お前も付き合え!」
「お、おう・・・」
同じく最後尾だったためか、割とショックも少なく落ち着いてた勅使河原と一緒に、
俺は教室へと戻っていった。
教室の惨状は、とても言い尽くせないほどひどいものだった。
前の方を見れば見るほど、机は鮮血で真っ赤に染まり、
ところどころ机や椅子が、皆が逃げた拍子なのか、なぎ倒されていた。
「勅使河原!あんたは由美を見てやって!」
「わかった!」
赤沢の声に、勅使河原は窓側で床に座り込んだまま動かない小椋を助けに向かった。
中尾も赤沢の手伝いを色々と行っている。
俺はなにをすれば・・・と思って前方を見ると、
床に嘔吐物を吐いて倒れ込んだ和久井の姿が見えた。
「やべぇっ・・・!」
先月に死んだ高林の一件をどうしても思い出してしまう。
喘息で病弱な和久井が、このままじゃ危ない。
前列の方には、風見と中島が血まみれのまま動かないが、
今はまず、和久井を何とか救助しなければいけなかった。
そう直感した俺は、急いで和久井の元へ駆けつけた。
「和久井!ほら、行くぞ!よっと・・・」
意識はあるらしく、首を小刻みに縦に頷いた和久井を背負って、
俺は教室を後にしようとした。
すると、もう一人。ロッカーの前でうずくまっている女子の姿があった。
有田だった。
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