過去ログ - インデックス「フィアンマに、安価で恩返しするんだよ」
1- 20
147: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2012/08/23(木) 03:07:15.01 ID:43dtioNa0


菓子の山を平らげて満腹になった少年は、継続的に幸せそうな顔をしていた。

「美味しかったか」

「うん!」

泣いたり笑ったり。
涙の後には笑顔があるべきだ。
少なくとも、子供には須らく幸福になる権利がある。

「あ、でもおなかいっぱいたべちゃった…おかあさんのごはんたべられるかな…いっぱいたべると、おとうさんがほめてくれるんだけど」

俺様と違い、両親は健在らしい。安心した。
生まれた時から母親は居らず、父親は一緒に楽しく遊園地へ行ったその日の夜に自殺する、といった形で喪った俺様とは違う。
本当に、鏡のようだ。別段羨ましいとは思わないが。

「家に帰った時にまた腹が減るお呪いを教えてやろう」

「おまじない?」

俺様を本当に魔法使いだと信じたらしい少年は、ドキドキとした様子で俺様を見上げる。
まやかしを心から信じていられるのも、また、子供の特権だ。

「『おなかへった』これで良い」

「おなかへった、っていったらおなかへるの?」

「家に帰ってから使えばな」

「おそとじゃいみないんだ」

「特別なお呪いだからな」

「ほかにおまじないってあるの?」

「そうだな…不幸が減るお呪いがある」

「! おしえてっ」

「少しずつしか減らんが、良いか?」

「うん」

「『不幸だ』と言うんだ。なるべく明るく」

「…いうの? いったらもっとわるくならない」

「いいや。そうして吐き出すんだ。口から、不幸を」


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
381Res/308.33 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice