過去ログ - インデックス「フィアンマに、安価で恩返しするんだよ」
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◆2/3UkhVg4u1D
[saga]
2012/08/23(木) 03:07:15.01 ID:43dtioNa0
菓子の山を平らげて満腹になった少年は、継続的に幸せそうな顔をしていた。
「美味しかったか」
「うん!」
泣いたり笑ったり。
涙の後には笑顔があるべきだ。
少なくとも、子供には須らく幸福になる権利がある。
「あ、でもおなかいっぱいたべちゃった…おかあさんのごはんたべられるかな…いっぱいたべると、おとうさんがほめてくれるんだけど」
俺様と違い、両親は健在らしい。安心した。
生まれた時から母親は居らず、父親は一緒に楽しく遊園地へ行ったその日の夜に自殺する、といった形で喪った俺様とは違う。
本当に、鏡のようだ。別段羨ましいとは思わないが。
「家に帰った時にまた腹が減るお呪いを教えてやろう」
「おまじない?」
俺様を本当に魔法使いだと信じたらしい少年は、ドキドキとした様子で俺様を見上げる。
まやかしを心から信じていられるのも、また、子供の特権だ。
「『おなかへった』これで良い」
「おなかへった、っていったらおなかへるの?」
「家に帰ってから使えばな」
「おそとじゃいみないんだ」
「特別なお呪いだからな」
「ほかにおまじないってあるの?」
「そうだな…不幸が減るお呪いがある」
「! おしえてっ」
「少しずつしか減らんが、良いか?」
「うん」
「『不幸だ』と言うんだ。なるべく明るく」
「…いうの? いったらもっとわるくならない」
「いいや。そうして吐き出すんだ。口から、不幸を」
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