過去ログ - インデックス「フィアンマに、安価で恩返しするんだよ」
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149: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2012/08/23(木) 03:07:32.84 ID:43dtioNa0

只の思い込みでいい。
将来、嘘だったじゃないかと俺様を心の中で責め立てる事になるかもしれない。
それでも、この少年が先程のように虐げられて黙るのではなく、不幸なのだと叫べたら。
そう自己主張出来たのなら、もしかすると、現実的には笑いをとってやめてくれるかもしれない。
夢想的には、その言葉に誰かの正義感が刺激されるかもしれない。大人でも、子供でも。
少年はこくこくと頷いた。
それでも何か引っかかる事があるのか、おずおずと言い出す。

「おにいさん」

「ん?」

「おれはしかたないけど、ほかになぐられたりしてるこをたすけられるおまじないってないの?」

「……、…無いな」

「そっかあ…」

自分がこれほどまでに痛めつけられて尚、他人の心配をする。
自分には出来ない。
こんなにも優しい子に、自分は何が出来るだろう。

「…だが、もっと大きな魔法を成功させる事なら、出来るかもしれんな」

「おおきなまほう?」

「世界を創る魔法だ」

自分の内側にある幸運…否、力の正体にはもう気づいていた。
何もかもどうでも良いと思って生きていた自分に、久しく存在意義が生まれた気が、した。

「そんなことできるの…?」

「あぁ、成功させてみせる」

「……じゃあ、いじめのないせかい、つくってね。いつか…やくそくだよ」

「約束する。もう二度と誰も不幸を嘆かない世界を創ってやる」

つい、と差し出された小指。
意味が分からず首を傾げる俺様に向かって、少年は照れくさそうに笑いかけた。

「いちどやってみたかったんだ、ゆびきりげんまん。だいじなやくそくのときに、こゆびとこゆびをぎゅっぎゅ、ってするんだよ。うたもあるんだ」

「そうか」

「…ふこうにしちゃったらごめんなさい」

「絶対にならない。…俺様は人じゃないからな」

「まほうつかいだから?」

「そうだ」

小指を絡ませ、少年が唄を唄い始めた。
幼い子供らしいボーイソプラノの歌声は、美しく澄んでいた。

救済の、約束。

まるで、まるでそれじゃ、

(聖書の、様だ)



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