過去ログ - インデックス「フィアンマに、安価で恩返しするんだよ」
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[saga]
2012/09/01(土) 01:13:23.34 ID:u9Gzqo/60
目的地に何とか無事たどり着き、エリザリーナとどうにか言葉を交わせた上条は、疲れでふらふらとしながら壁に寄りかかる。
風斬は実体がない為支えられない事を申し訳なく思いながら、上条に優しく声をかけて励ました。
これで家に帰る事が出来るね、と励まされたところで、上条は苦笑いするしかないのだが。
エリザリーナ「勝算は確約出来ない。でも、対策を立てる事は出来るわ。もう遅いかもしれないけど、立てておくに越した事はない」
ホワイトボードに向かおうとするエリザリーナ。
上条は真剣な表情でそちらを向いたの、だが。
フィアンマ『この時点で対策を練っているというのは、いくら何でも遅過ぎる』
囁くような、響く男の声。
エリザリーナを含む周囲の魔術を心得る人間全てが術式を咄嗟に組んで。
しかし、次の瞬間、大きな衝撃と破壊行動により、全て無かった事にされた。
3〜40Km程の長さの、規格外どころではない大剣が、空間を切り裂いていた。
今の一撃で、地図を塗り替えられる程ではないだろうか。それほどの、破壊力。
上条が出来た事といえば、右手を突き出し、咄嗟に風斬を庇う位のこと。
散らばる瓦礫。積まれる人の山。
幸いにも死者はいないように思えるが、皆ほとんど気を失っている。
エリザリーナでさえ、のろのろと指を動かすのが精一杯、といった様子。
コツ、と革靴の音が響いた。
ガレキを優雅に乗り越えてきたのは、細身の青年。
右方のフィアンマ、その人。
フィアンマ「この俺様に向けて、『右腕』で術式を組むつもりか?」
エリザリーナの指の動きを眺め、フィアンマはゆっくりと彼女に近寄っていく。
上条は、慌てて大声を出した。
上条「ッ、フィアンマ!」
フィアンマ「……」
メキメキ、と右肩から『第三の腕』を乖離させ、その一振りでエリザリーナをガレキの下へ押し込めて完全に無力化したフィアンマは、上条の方へ振り返る。
完全なる無音の中、特殊な右腕を持った二人が、きちんと、互いに対してしっかりと意識を向けて向かい合うのは、実に十年振り。
唇を噛み締め、フィアンマを睨みつけ、上条は挑発的に言う。
上条「お前の相手は俺だろ」
フィアンマ「……脚が震えているぞ、当麻。怖いのだろう?」
久しく弟に会った兄のような、親しげな声。或いは、嘲笑の籠った声。
上条は右拳をしっかりと握り締めた。
優しい笑顔はあの時のまま、そのままなのに、決定的に何かが違う。
あの時の自分なんかより、よっぽど世界に絶望した瞳をしている。
覗き込んでいたら、そのまま取り込まれてしまいそうな程に。
フィアンマは何か調子を確かめるかのように、右手の指をゆっくりと動かす。
連動するように、ゴキゴキ、と奇怪な音を立てながら『聖なる右』…『第三の腕』が動いた。
説得しなければ、と、上条は思う。出来れば、彼を殴る事なく、彼の意思を変えさせたい。
フィアンマ「ここまでよく頑張ってきたな。疲れただろう。他人に振り回され、良い様に使われて。ヒーローというのは楽なものじゃないだろう」
上条「……」
フィアンマ「誰もお前を哀れまない。だから、俺様が哀れんでやろう。可哀想に。こんな世界の為に頑張る必要は皆無だった」
上条「……っ」
フィアンマ「その『異能を消去するだけ』の右手で、よくここまで生きてきた。褒めてやろう。お前はよく頑張ったよ」
優しい声なのか、嘲笑われているのか、曖昧だ。
フィアンマ「怖い思いも痛い思いもしただろう。もう少し待っていれば、もう二度とそんな思いはしないで済む。お前が忘れていても、俺様は約束を守る」
約束、という単語に、上条は絶望する。
やはり自分のせいだ。自分とした約束のせいで、彼を狂わせてしまった。
フィアンマ「幸せな世界を創ってやる。戦争も何もかも、その為の下準備だ。全てが終わったなら、お前の望む奇跡を与えよう」
上条「…、
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