過去ログ - インデックス「フィアンマに、安価で恩返しするんだよ」
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◆2/3UkhVg4u1D
[saga]
2012/09/01(土) 19:01:24.46 ID:YGPs015z0
《
>>282
様 見てくださっている方が多いのか少ないのかわからないので、ありとします。連続取得にしても内容にしても、安価取得に参加なされる方々(=読者様方)の良識にお任せします》
上条は泣きそうになりながらも上を見る。
翳された大剣は、まるで自分を斬り捨てるようにも思えた。
長大な剣はあまりにもスケールが大きすぎて、現実感が吹っ飛んでしまいそうだ。
ああ、これは精神に関係する魔術なのだろうか。上条には、よくわからない。
酸欠でズキズキと痛む頭を摩ろうと手を頭に持っていくと、パキン、と甲高い音が聞こえた。
術式が解けた。ふらふらするけれど、どうにか回避しなければ。
しかし、上条が体勢を変える前に、一歩踏み出す前に。
残酷にも、聖なる大剣は振り下ろされた。
意識を失った上条は、昔の夢を見ていた。走馬灯のように。
『美味しかったか』
『うん!』
用意されたお菓子の山を平らげ、笑顔を見せると、お兄さんも笑った。
お兄さんは安堵したような表情で、柔らかい笑顔を浮かべていた。
知らない人からもらったものは食べちゃダメ、と母親に言われていたけれど。
どうしてだか、この優しいお兄さんは、自分の味方にしか見えなかった。
転んだ自分に手を差し出してくれたからか、怪我を治してくれたからか。
わからない。そんな事は、十年経った今、解析することも出来ない。
『ゆーびきーりげんまん、うそついたら…』
『続きが思い出せないのか?』
『ううん。おにいさんはうそつかないとおもうけど、はりせんぼんのむのいたそうだなーって』
『約束を破った相手に針を千本呑ませる唄なのか?』
『うん。…よくかんがえたらこわいね』
指を絡ませたまま悩む俺の様子を見ながら、お兄さんは楽しそうに笑っていた。
もしかしたら、お兄さんも俺と同じで、こうやって人と約束したことは無いのかもしれない。
急激に、このお兄さんと自分が似ているような気がしてきた。
だって、今笑っていても、お兄さんは寂しそうな目をしているから。
『なら、怖く無い条件にすれば良い』
『うーん。じゃあ、じゃあねー…んー…うそついたら、またまほうをおれにおーしえる!』
『まだ知りたいのか…』
『だっておにいさんのまほうききそうだから』
『…仕方がないな』
約束だよ、と頬を膨らませる俺の頭を撫でて、お兄さんは頷いた。
他人が傍に居るのに、初めて『幸せだな』、と思えた。
お菓子を食べたからじゃなくて、怪我を治してもらったからじゃなくて。
お兄さんが何を考えていたのかはわからなかったけど、優しくされて、幸せだと思えた。
地獄のような日々に、ただ一度手を差し伸べられてから、俺はその地獄から抜け出せた。
全部俺が悪いんだと考え込んで間違っていた俺を、彼は優しく正してくれた。
その時楽しかったのは、幸せだったのは、全部お兄さんのお陰だったんだ。
だから、今度は俺が正してあげなくちゃいけないんだろうと、思う。
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