過去ログ - インデックス「フィアンマに、安価で恩返しするんだよ」
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299: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2012/09/01(土) 20:47:13.90 ID:K5fX0TZ30
>>295様 ユートピア:上に人が居ない、全て平等で唯一価値観を持ち合わせる人間しか存在しない為、幸福に満たされている ディストピア:一見すると規則正しい世界だが、上に一人、或いは少数の『管理する側』の人間が居る為、反抗する者は排除してかりそめの幸福を保つ という特徴の解釈だったので、フィアンマさんが創ろうとした世界はこの両方の要素が入っているある意味最悪の世界、という意味のルビでした。理想郷は正確にはユートピアで合ってます》



上条「…、………なら、また約束すれば良いさ」

一時的な熱狂。
この世界は自分たちだけでやっていける。
救済の拒絶。
悪意は弱まっていき、やがて『聖なる右』は打ち破られたが、『竜王の顎』は、それ以上進まない。それどころか、役目を終えたとばかりに霧散した。
フィアンマを止める為にやってきた上条の努力を、フィアンマを傷つける形で無駄になんて、しなかった。
或いは、上条が制御下に置いたのかも、しれないが。
弱体化はしたものの、どうにかまだ『ベツレヘムの星』を支えている『聖なる右』を無駄な攻撃に転化する事なく、フィアンマは上条に近寄った。
その手には、取り出したらしい医療道具。本当に、彼は上条を殺すつもりなんて皆無だったから。
歩み寄ってきたフィアンマは、上条に赦しをこうかのように、その場で膝をつく。
上条も、立っているのが限界だ、と剣(支え)から手を離して、膝をついた。

上条「……約束してくれるかな…『まほうつかいのおにいさん』」

フィアンマ「…あぁ、約束する。今度は、破らない」

魔術的な手当は意味をなさないため、医療道具で縫合を行う。
動かすのは到底不可能だったが、応急処置程度には成功した。
再接続してもらった右腕ではなく、左手の指を差し出して、上条は弱々しく微笑みかける。
フィアンマは頷き、指を差し出し、絡ませた。憑き物が落ちたかのように、すっきりとした表情で。

上条「…もう、こんな事しないって、約束してくれよ。人を傷つけないって。破ったら、…今度はぶん殴る…ぶん殴りますからね!」

フィアンマ「別に敬語じゃなくて良いぞ。……難しいな。だが、なるべく傷つけないよう、心がける」

フィアンマに渡された増血剤の役割を果たす不味い飴を噛み砕きながら、上条は頷く。
途切れ途切れの約束の童唄は、十年前よりも、当然の事ながら、低い声だった。



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