過去ログ - インデックス「フィアンマに、安価で恩返しするんだよ」
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30: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2012/08/09(木) 21:45:17.66 ID:MUViKCDj0

冷蔵庫の中を覗き、しばらく首を捻り、浮かんだのは消化の良さそうな料理。
ベーコンとキノコのクリームリゾット。
生クリームやバター、粉チーズといった諸々の材料はある。
スープを少しずつ吸わせてお粥を作れば良いのだから、きっと大丈夫。
自分にそう言い聞かせたインデックスは、元気良く、玉ねぎを切る事にした。

目を覚ましたフィアンマは、熱した生クリーム特有の匂いに気がついた。
そして身体を起こし、のろのろと立ち上がり、キッチンへと移動する。
フライパンから立ち昇るのは微妙に黒い煙。
そこに立つ少女は、フィアンマがほんの気まぐれから救った一人の少女。
ふんふんと鼻歌を唄いつつ上機嫌に水を足している。
どうやら鍋の底から混ぜるという発想は無いらしい。或いは、そんな腕力が無いのか。
いずれにしても不味そうだ、と予想しつつ、かといって責めるでも止めるでもなく、フィアンマは席に着いた。
インデックスは椅子を引く音でフィアンマの存在に気がついたのか、はっとすると振り返って笑顔を浮かべる。

インデックス「もう少しで出来上がるから、待ってて欲しいかも!」

フィアンマ「…あぁ」

出来上がるも何もそもそも失敗しているのだが。
口には出さず、フィアンマは暇そうにフライパンから昇る煙を見つめた。
少々焦げ臭いのだが、この修道女見習いは気づかないのだろうか。
もしや鼻が利かないタイプか、とフィアンマが首を傾げたところで、ようやく焦げに気がついたインデックスは大慌てで鍋を掻き混ぜる。
今更どうにも修正は効きそうにない。

それから十分程して、リゾットと呼んで良いかどうか分からない謎の物質のよそわれた皿がテーブルに置かれた。
インデックスは何か身の危険を感じているのか、一生懸命お祈りをし始める。
そんなに酷い代物なら諦めれば良いものを、と思いつつ、フィアンマはインデックスの皿と自分の皿を見比べる。
どちらも最悪の出来だが、幾分か、自分の分は焦げが少ないだけマシというべきか。
対して、インデックスの皿の中は全体的に黒い。焦げを集中的に集めたらしい。
バランス良くよそう能力が無いという訳ではなく、フィアンマに焦げを食べさせまいとしたようだ。
そこまで理解した上で、フィアンマは目を瞑ってお祈りをしているインデックスの邪魔をしないよう、音もなく皿をすり替える。
そして自分は簡易的にさっさとお祈りを済ませて食べ始めた。

苦い。生臭い。ところどころ米が硬い。
イギリス人というのはここまで料理センスがないのか、と思いつつ、フィアンマは黙々と食べ進めていく。
インデックスは覚悟が決まったようにお祈りを終わらせて目を開け、眼前の皿の、白い中身にきょとんとした。
そして隣に座っているフィアンマの皿を見、慌てて止めようとした。

インデックス「だっ、ダメなんだよ! そっちは失敗したやつで…」

フィアンマ「どちらの皿にせよ失敗しているだろう」

インデックス「え、ぅ…その、一応聞くけど、…お、おいし、い?」

インデックスの恐る恐る、という表情での問いかけに、フィアンマはにっこりと笑って答えた。

フィアンマ「不味いな。これで金を取られたら正直嘔吐して罵るレベルだ」

インデックス「ぅ…ご、ごめんね」

しょんぼりとするインデックスの様子を慮るでもなく、しかしフィアンマは食事の手を止めない。
不味いと言い、本当に不味いものだけれど、どうにか我慢して食べている。
確かに、食べ物を捨てるのは勿体ないとか、そういうことでもあるけれど、それだけではなく。

フィアンマ「…ただ、まぁ、お前が一生懸命作った事は評価してやる。次はもっと勉強してから取り組む事だ」

インデックス「…、うん!」

安堵したのか、涙目ながらもどうにか笑みを浮かべて頷くインデックスを見、フィアンマは口の中の異物を無理やり噛んで飲み込みながら、目元を和ませるのだった。



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