過去ログ - インデックス「フィアンマに、安価で恩返しするんだよ」
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303: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2012/09/01(土) 20:50:01.12 ID:K5fX0TZ30

上条を乗せた一人用の脱出用コンテナは無事射出され。
フィアンマは一人ぼっちとなった。脱出する術も無い。
崩壊していく『ベツレヘムの星』の中、フィアンマはぼんやりとした表情で呟く。
椅子なんて無いので、床に座り込んだ。
ぺたり、と座り込む姿は、途方にくれた子供のようだった。

フィアンマ「…すまないな、…インデックス」

禁書目録、ではなく。
インデックス、と呼び、きっとまだ自分を信じて帰りを待ってくれているだろう彼女を思い浮かべながら、謝罪の言葉を重ねる。

フィアンマ「すまない。…帰れ、なかった」

こんな場所で呟いても、届かない事位知っているのに。

フィアンマ「帰れなかったよ」

自分の城と共に死ぬ、というのもなかなかロマンチックなものだ、なんて。
場違いに呑気な言葉が浮かぶのは、全て諦めたからだろうか。

フィアンマ「…お前の笑顔をもっと見ておけばよかった。お前ともっとずっと一緒にいれば良かった。お前の手を握っていればよかった」

成功しても失敗しても自分には損ばかりの、最悪な賭けだった、最悪の復讐だった。
後悔は不思議と残らない、なんていうのが物語の定番だが、フィアンマは生憎生きている普通の人間。
後悔はあるし、無力感に打ちひしがれる時もある。

フィアンマ「…結局、俺様の人生には何の意味があったんだ。世界を憎み、大事な物を捨てる為に産まれてきたのか。ただそれだけの為に、生かされてきたのか」

世界で一番神に愛されている青年は、世界で一番神を呪った。
頑張れば頑張る程、自分だけが報われない。
中途半端な幸せだけ与えられて、どのみち自分から捨てる方向へ動くよう、運命が定められる。

フィアンマ「……俺様は、ただ」

我が儘を言うなら、上条の笑顔を見たかった。
そして、インデックスにも笑顔でいてほしかった。
平和でいられたなら、それだけでよかった。
並外れた幸運なんてなくたっていい。世界を救う力なんていらない。
魔術師なんかやめたっていい。信念すら曖昧なのだから。
もう一度、幸せになりたかった。
誰から虐げられたっていい、父親が死ぬ前に少しだけ感じていられた、あの充足感を得たかった。
限りなくあの感覚に近いインデックスとの生活を続けていれば良かったのか。

続けて、いたかった。    もう、一人ぼっちなんていやだったのに。

フィアンマ「…、…」

大天使『神の力」が、再暴走を始めようとしていた。
フィアンマは立ち上がり、違う場所へ移動した。
この下降し続ける要塞を移動させ、ぶつければ『神の力』は消滅、元の座に還るだろう。
自分の始めた事は、最後までしっかりと責任を持って自分で終わらせる。

泣いて謝って赦される年頃なんて、もうとっくに過ぎているのだから。


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