3: ◆Koneko/8Oc[sage saga]
2012/08/09(木) 00:51:58.94 ID:e+vTXGbXo
俺が玄関のドアを開けると、意外なことにそこに立っていたのはあやせだった。
あやせは俺が家に居るとは思わなかったのか、目が合うと急にうろたえるような素振りを見せた。
夏休みだから俺が家に居たって不思議じゃないだろうに、どうもあやせの様子がおかしい。
「ちょ、ちょうどアイスを買いに行くとこだったんだけど、あやせは何がいい?」
「あ、アイスですか? えっと……」
俺はあやせのためなら、コンビニと言わず駅前のデパ地下だろうと速攻で買いに行ってやる。
クソ生意気な妹と違ってあやせは、灼熱地獄に咲いた瑞々しい一輪の花だ。
あやせは薄っすらと額と首筋に汗を滲ませ、俯き加減で困った顔をしているのがなんとも可愛かった。
「遠慮なんかすんなって。どうせ買いに行くんだし、あやせの分も買って来てやるよ」
「あの、それよりも桐乃はいますか?」
「桐乃ならそこに立って……って、あれ? リビングへ戻っちまったのかな」
「お兄さんのその様子だと、桐乃からまだ何も聞いてないんですね」
「聞いてないって、何を?」
「桐乃、家に居るんですよね? 入ってもいいですか?」
俺が玄関のドアを開けたときには、桐乃は確かに俺の後ろに立っていた。
桐乃の位置からあやせが見えなかったはずはないし、そうだとしても声は聞こえたはずだが……。
考えていてもしょうがない。俺は、先に靴を脱いであやせを家に招き入れた。
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