5: ◆Koneko/8Oc[sage saga]
2012/08/09(木) 00:53:25.36 ID:e+vTXGbXo
あやせは、テーブルを挟んで桐乃と向かい合うように椅子に腰掛け、そのまま俯いて黙り込んだ。
俺が麦茶の入ったコップをあやせの前に置いてやると、桐乃は、俺にも座るよう目でプレッシャーを掛けた。
桐乃のただならぬ気配に畏怖しつつ、俺は黙ってあやせの隣の椅子に腰掛けた。
「あやせも知っちゃったわけだ」
「昨日の夜、お父さんとお母さんに書斎に来るように言われて……」
「ふたりとも十五歳になったらって、本当のことだったんだ」
「わたしの方が早かったから……お父さんもお母さんも、昨日まで黙っていたらしいの」
「本来なら、あやせの誕生日だったのにね」
「桐乃は、前から知っていたの?」
「あたしが知ったのは偶然。留学するとき、いろいろと提出しなきゃいけない書類があって……」
重苦しい空気が漂う中、桐乃とあやせが何の話をしているのか、俺には皆目見当が付かなかった。
しかし、桐乃が俺に座るよう促したってことは、俺にも関係がある話だということだけは確かだ。
「話の途中で割って入るのもなんだけど、おまえら、何の話をしてるんだ?」
「いつかは、あんたにも本当のこと話さなきゃって思ってたんだけどね。
今から十五年前のことなんだけど、ある病院の産科で……赤ちゃんの取り違え事件があったの」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ。いきなりそんな話されたって――」
「お兄さん、桐乃が言ったこと、本当なんです」
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