過去ログ - 燈馬「おはようございます」可奈「はい、お弁当」
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102:燈可奈弁X ◆WxhrC2Qhtw[saga]
2012/09/02(日) 02:21:28.00 ID:3FHGFNhP0
>>101

「お茶でも…」
「いいから、少し休んでて。病院も無理して出て来たんでしょ?台所借りていい?」
「あ、うん」

体も本調子ではなく、想は正直億劫だった。
それでも、こちらに戻って来て急速に親しくなった、学問と青春を共に出来る大事な学友、
本気で心配してくれているのは分かるから粗略には出来ない。

想は、どかっとソファーに座り込む。
元々独り暮らしの筈だったが、ここまで自己管理が出来ないとは思わなかった。

きっかけはインフルエンザだったが、病床でも想の証明を求める神々の囁き妖しい光。
引き付けられるままに治りきらない内に無理をして、の繰り返しで、
風邪に過労に胃腸障害に栄養失調にと病室と大学の往復頻度が明らかに危険な領域に達している。
最悪なのは、体調と反比例して頭の冴え、数学的才能が異常に昴進して紙と鉛筆を求めてしまう。

想は右手で顔を覆っている。このままではいけない、元も子もなくなる。
頭では重々分かっているのに、色々な意味で体が言う事を聞かない、それがもどかしかった。

それでも、ほんの一時解放されたためか、想はいつしかそのままうつらうつらとしていた。
どれぐらいそうしていただろう。何か、懐かしい夢を見ていた様だ。
閉じていた瞼が薄目を開く。鼻がひくひくと動く。
想は目を見開き、思わず叫んでいた。

「あ、起きた?」

台所から声が聞こえた。
そして、アイシャがソファーの前の座卓にコップを置く。

「疲れてたのね、日本語になってた」
「え?」

首を傾げた想が、コップの水に口を付ける。
市販のミネラルウォーターをコップに移しただけの水だったが、
冷蔵庫で丁度よく冷えた水が今の想には具合が良かった。

「もう少し待ってね」

台所に戻ったアイシャは、
想が久しく使っていなかった小鉢とお椀をお盆に乗せてリビングに戻って来た。


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