過去ログ - 燈馬「おはようございます」可奈「はい、お弁当」
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113:燈可奈弁X ◆WxhrC2Qhtw[saga]
2012/09/03(月) 03:40:06.02 ID:qhQB4KkO0
>>112

「ありがとう」
「え?」
「こんな時、どんな顔をしていいのか分からない。
間違っても笑う事なんて出来ない。
だけど、これだけは言っておきたい。今までの時間、ありがとう、って」
「うん」

想の優しい響きを聞き、アイシャはぺこりと頭を下げて想に背中を向ける。

想の手がのろのろとアイシャに向き、口が開く。
足が半歩前に出る。
そこで、ぱたっと手が降りて口が閉じる。

「お休み、アイシャ」
「お休み燈馬」

 ×     ×

「アイシャには分かりすぎていた。打ち負かされた燈馬の絶望の深さ。
だからこそ、この先も、と言わなかった優しさも」
「良かったのか悪かったのか、賭けであっても思い切って、って言う事が出来ないのが」
「燈馬が追い求めたミューズ、アイシャはその美しさの片鱗を知っていた。
燈馬がその腕に抱こうとしたその刹那に泡と消えた。その時何が出来るのか、出来ないのか」
「只の女なら張り合う事も出来た、それ以前に記号でしかないもの。
だけど、見える人間にとってはオーラだけでも絶世の美女。
しかも、彼女も又それを見る事に人生を懸けて来た」

「ロキが言った送別会の時、片隅のホームバーで私は彼女と酒を酌み交わした。
ええ、彼女は言ってたわ。最後まで想いを伝える事も、まして、それ以上の事も決して無かった、って」
「それで、彼女は納得したの?」
「するしかない。ええ。アイシャもそう言っていた。
なかなか諦められなかった。それでも、側にいれば馬鹿でも分かる事だ、って」
「そして、アイシャも又アメリカを離れた」

「直接的な理由は教授について行ったから、これは本当。
でも、特にロキとの関係がかなり厳しかったのも確か。
ロキは言ってた、俺は疫病神かって。ロキはアイシャの事を妹の様に可愛がってた。
ロキを前にしても物怖じせず打てば響く抜群の数学センス。生真面目で芯に情熱を秘めた性格。
燈馬の事だってそう。それがあんな事になった。
只でさえそっちには疎い妹分が、只でさえ難易度が高い上に絶対に報われない弟分に、なんだから。
しかも、世紀の大事業を抱えて普通の精神状態じゃないそんな真っ最中に」


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