過去ログ - 燈馬「おはようございます」可奈「はい、お弁当」
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137:燈可奈弁X ◆WxhrC2Qhtw[saga]
2012/09/08(土) 14:00:19.31 ID:q3Cr0rec0
>>136

「買収、ですか」
「脅迫もあったらしいが、学者としてやってしまった事を考えると」

湯川は無念な面持ちで首を横に振る。

「でも、それだけの世界的権威を批判したって事ですよね?
学界は色々としがらみとか閉鎖的って私の偏見ですか?」

「いや、残念ながらそれは否定し難い事だ。
あちらの学界の事を詳しく知っている訳ではないが、僕の聞いた話では、公表された報告書を書いたのは、
その世界ではサインがそのまま真実として通用してしまう程の権威だったらしい。

そして、その内容は些かもその権威を裏切るものではない、
確たる知識と洞察力、徹底的に綿密なフィールド・ワークに裏打ちされた、
詰まらぬ金や権力、飾りの権威でどうこう出来るものではない素晴らしいものだった。そう聞いている」

「いるものなんですねぇ」

湯川の褒め言葉に、内海ははーっと関心した態度で応じた。

「その結果、開発事業に関わった各国では学術的にも経済的にも蜂の巣を突いた様な騒動になったが、
一番の問題はその国の方だ。国際世論が沸騰したばかりか文字通りの内戦になってしまった」
「それで、燈馬想は」
「内戦が収束して随分経ってから、生きていたメールアドレスに僕が渡米の予定を報せたら、
一緒に飲みたい、と言って来たよ。彼にしては珍しい事だったな」
「友人、そうだったんですね」

「ああ、そうだった。その友人の名誉のために言っておくが、彼は数字と人間を混同する愚か者ではない。
それに、その国にもアメリカその他にも、信頼出来る人脈をいくつも持っていた。
性急過ぎると思われる政策に対しては、メジャーの意に反する事でも、
むしろ後々の問題が大きいと予測される数字を確かな所に根回しして調整に腐心していたらしい。
それでも、数字が現実となる、それによって多くの子どもが救われる、その事の魔力を彼は否定しなかった」

「それが、正しい報告によって、うまくいかないものなんですね」


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