8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/08/11(土) 04:16:10.69 ID:T8SVpnRDo
 「つまり、どういうことなのですか?」 
  
 「さて、どういうことなのでしょうか。 
 私がわかっていたのはここが俗世ではないということだけ、です」 
  
 いまいち女の言うことは要領を得ませんでしたが、 
 彼はひとまず話を進めることを優先させました。 
  
 「そうですか」 
  
 「私が思うに、ここは黄泉の国なのではないかと…」 
  
 女は顔を曇らせました。 
 きっと彼に残酷な事実を突きつけるのを嫌ったのでしょう。 
 彼は女を励ますように言いました。 
  
 「うすうす、そんな気はしていました。 
 だって、まるで生きている気がしないのだから」 
  
 「それはよかった。 
 もしも泣きわめかれたらどうしようかとずっと考えていたのです」 
  
 「それを考えるのは大変だったでしょう」 
  
 「ええ、とても」 
  
 そう言って女は上品に笑いました。 
 つられて彼も笑ってしまいました。 
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