130: ◆WNrWKtkPz.[saga]
2012/08/17(金) 14:47:49.38 ID:yeyu0jZa0
姫萩は都内のお嬢様高校に通っているらしい。
そう言われれば、品格のある人柄だと感じさせるものが姫萩にはあった。
彼女がルール8を持っていたため、全てのルールが揃った。
ルール8は細川の推測通り、ゲーム開始から6時間まではこの建物全域が戦闘禁止エリアである、ということが記載されていた。
「姫萩さんは、ここに来るまでに他の誰かに出会いましたか?」
「ええと……1人だけ男の人に」
「その人は?」
「いえ、ゲームが始まって間が無かったので、恐怖のあまり逃げ出してしまったんです……。その方は、私のことを呼び止めようとしていたのですが……」
「どんな人だったの〜?」
「あまり覚えてないんですけど……制服を着ていて、確か細川さんより低かったような――」
その瞬間、細川は少し悲しい気持ちになった。
どうしようかと思いつつも、鞄に入れていた“アレ”を取り出して姫萩に見せた。
「この人、じゃないか……?」
「あ……はい、この人です! でも、なんで細川さんが学生証を?」
「……その人――御剣総一は、亡くなったんだ」
「えっ……?」
――――
――
「そう、だったんですか……」
御剣の最期を姫萩に言い終わると、とても暗い顔をして下を俯いた。
「……きっと、“良い人”だったんでしょうね」
ポツリと姫萩はそう呟いた。
「ねぇ〜咲実ちゃん、お腹空いてる〜?」
「少しだけ、減ってますね」
「だったら料理するから、ちょっと待っててね〜!」
「は、はい、ありがとうございます」
戦闘禁止エリアにはキッチンやシャワー室、仮眠室など生活に必要な施設が揃っていた。
渚さんは鼻息をしながら携帯食料で調理をし始めていた。
「渚さんって不思議な人ですよね」
姫萩が渚さんのほうを見ながら少し微笑む。
「そうですね、なんというか人を惹きつけるものを持っているというか……」
「…………」
「…………」
渚さんが居なくなったことで、突如会話が途切れてしまう。
(気まずい……)
姫萩になんて話しかけようか……?
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