166: ◆WNrWKtkPz.[saga]
2012/08/18(土) 01:25:27.37 ID:YsbVX7Yo0
「へっ……拳銃なんて、エアーガンと変わりはしねーな」
姿を現したのは、中学生くらいの少年だった。
ニヤリとしながらこちらの様子を見てゆっくりと近づいてくる。
「それにしても、そっちのねぇちゃんにはびっくりしたぜ。まさか俺が隠れているってことに気づくなんてよ……」
姫萩の方を興味ありげに見つめる少年の目つきは酷く鋭い。
北条と年齢が変わりそうもないこんな少年が、こうも簡単に人を傷つけてしまうことができるというのは、かなり驚きである……。
「さて、話はここらへんにして……そろそろ死んでもらうぜ」
「くっ……!」
銃口からどうにかして逃れたいが、いままでに感じたことのない痛感で身体が思うように動かない……
「そうだ、にーちゃんに選択肢をやるよ」
「せん、たくし……?」
「ああ、そうだ。にーちゃんが先に死ぬか、ねーちゃんが先に死ぬか、どっちか決めてくれよ」
何を言っているんだ、この少年は?
まるで人殺しを楽しんでいるかのようなそのいい振りは、サイコパスそのものだった。
「そ、んな……」
そんなこと、決めれるはずがないだろう。
「そうだ、そこにずっと立ってるお姉さんが生贄になるっていうのでも、いいぜ?」
「…………」
渚さんはじっと彼のほうを見つめていた。
どうやら、隙を見て彼に対抗しようとしているようだが、彼は常に警戒心を解いてないため、静観する事しかできないようである。
(詰んだ、か……)
まさか、このような形で終わりを迎えるとは思ってもみなかった。
痛みで気がどうにかなってしまいそうになる……
(いや、まだ可能性は取り残されている……)
ふと、腰に隠してあったサバイバルナイフの存在に気が付く。
負傷しているのは俺一人で、少年は幸運にも俺達に時間を与えてくれている。
(やるしかない!)
これは渚さんに救われた命なのだから……ここで懸けなければいつ懸けるというのか!
「……俺から殺せ」
「へぇ、にーちゃん案外男前じゃん」
「忍君!」
「渚さん、“あとは”お願いし、ます。姫萩さん、俺から少し、離れてくだ、さい……」
「ぁ……は、は、ぃ…………」
体を震わせながら、細川と距離を置いた。これで、流れ弾を食らう可能性がかなり減っただろう……。
「へっ、レディーファーストってやつか? まあ、どうでもいいけどな――」
目の前の少年は、容赦なく銃口をこちらへ向けて……引き金に手をかけた。
(いまだッ!)
少年が隙を見せるのはこの拳銃を打つ瞬間だけだ――
俺は一か八かでどう動いた? >>169(サバイバルナイフの使用が必須条件)
986Res/411.09 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。