391: ◆WNrWKtkPz.[saga]
2012/08/20(月) 23:37:44.62 ID:y+nVlc5R0
「文香さん、待ってください!」
目黒は自然と文香さんの手を引っ張っていた。
恐らく御剣君の時のことを思い出して、同じようになるのではという恐怖があったからであろう。
「心配してくれてるのね? でも……大丈夫よ」
「駄目です! もう少し……もう少しだけ様子を見ましょう?」
「……奈央がそこまでいうなら、少しだけ待つわね」
取りあえず、一旦文香さんを引き留めることに成功した。
しかしあの男が動かな限り、いずれは接触しなければならないのだが……
「ん……誰か、来る?」
待っていると、金髪の男とは違う男がホールに姿を現した。
『探してみたが、この周辺には誰もいないみたいだ』
『おいおい、これだけ俺様を待たせておいて1匹も捕まらないなんて、そりゃないぜ……高山のおっさんよぉ』
廊下を伝って、物騒な会話が聞こえてくる。
どうやらガタイが大きい後から現れた男は“高山”というらしい。
『ならばお前が探しに行くか?』
『いや、役割はこのままのほうがいい。ゆっくり休憩できるしな――』
そう言いながら、金髪の男は煙草を吸い始める。
『……おっと、お前も吸うか?』
『いや、ここは油断ができない場所だ。後ろが取られない場所に行かなければならないな』
『ったく……相変わらずお堅いことで。んじゃ、場所を移そうぜ』
『お前が不用心すぎるんだ、手塚……』
高山と、手塚という男たち2人は階段をゆっくりと登って行った。
(あ、危なかった……)
目黒は必死に息を止めながら、2人が去るまで固まっていた。
あの高山と言う男がもっていたのは、恐らくスナイパーライフルというものであり、そのほかにも銃器を武装していたように見えた。
もしあのタイミングで文香さんが手塚に接触していたら、恐らく後ろから高山に撃ち抜かれていた事だろう。
「あの2人、かなり厄介ね。犠牲者が増えなければいいのだけれど……」
「あ、あんな人たちに勝てませんよ! ど、ど、どうするんですか!?」
「奈央、落ち着いて! この建物はかなり広いから、同じ人とすぐ出会うことなんて殆ど無いわ!」
「そ、そうですね……」
文香さんが居なかったら今頃私はどうしていたのだろうか?
ゲームの雲行きが怪しくなってくる現実に、目黒の恐怖はどんどん増して行っていた……。
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