過去ログ - 安価でシークレットゲーム
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396: ◆WNrWKtkPz.[saga]
2012/08/21(火) 00:07:25.49 ID:uxiE+d+J0
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「そろそろ、行ってもよさそうね」

彼らが階段を上ってから1時間余りが経過し、ゲーム開始から35時間になった。

「文香さん、もうこれ以上は危険、ですよ?」

あの高山の武装している姿が、目黒の目にずっと焼きついている。

あのような武器があるという事は、他のプレイヤーも同じように武装している可能性があるという事だ。

まともに武装できていない自分達は、あっという間にやられてしまうのが目に見えている。

恐らく4階は戦闘に巻き込まれることが必須になる。

そんな死地のような場所に文香さんを連れ入れたくなかった。

「……奈央、こっちに来て目を瞑りなさい」

「え、は、はい…………痛ッ!」

突然額に痛みを感じる。

デコピンを食らった額を抑えながら目を開くと、真剣な顔をしている文香さんが居た。

「前にも言ったわよね? これは私が勝手にやってることだって」

「で、でもここから先は、本当に死んじゃうかもしれないんですよ……?」

「そんなのまだ分からないじゃない。もしかしたら、私がここで奈央と別れて、下に降りている途中で誰かに殺されちゃう可能性だってあるじゃない?」

「それは、そうですけど……」

そんなこと言い始めたら、何も言い返せなくなってしまう。

「はぁ……じゃあこういうのはどう?」

なかなか引かない目黒に文香は溜息をついてから微笑む――

「私は、そうやって心配してくれる奈央の事が好きよ」

「えっ……!」

突然好きだなんて言われて、顔が熱くなるのを感じて、下を俯く。

「勿論、人としてってことよ……。だから、私はそんな奈央のことを守ってあげたい。……これじゃ、ダメかしら?」

「は、はい……。そ、それじゃ私も文香さんのことを守ります!」

「あら、嬉しい事言ってくれるじゃない。それじゃ、お互いに助け合ってこのゲームを一緒にクリアしましょう?」

「はい!」

いつの間にか文香さんのペースに持っていかれているが、気にしなかった。

文香さんの最良のパートナーとして、目黒奈央はこのゲームをクリアすることを誓いながら、階段を上って行った――


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