408: ◆WNrWKtkPz.[saga]
2012/08/21(火) 01:25:13.37 ID:uxiE+d+J0
【コンマ判定>>407 10→姫萩】
「う、ぅ……」
「……まだ息があるわ! 奈央、手伝って!」
「は、はい!」
血を流していたのは、赤く染まった制服を着ている女子高生くらいの女性だった。
文香さんに指示されたことをできるだけ早くした。
自分の服が血に染まっていることなど気にもせずに、目黒は必死になっていた。
――――――
――――
――
「ふぅ……どうにか、一命は取り留めたみたいね」
「はぁ……よかった」
近くの部屋に女性が安静な状態になったことを確認した瞬間に、目黒は地面に座り込んでしまう。
「それにしても、ここの薬の回復力は異常ね。普通だったらあれだけ負傷していたら3日はまともに動けなくなると思うのだけれど……」
深かった腹部の切り傷はそれほど目立たなくなっており、血も流れる事はなかった。
「そういえば、文香さんってこういったことに詳しいんですね」
治療をしているときに一切の迷いを見せなかったため、恐らくは何度も経験したことがあるのだろう。
「えぇ、昔は医療関係の仕事をしていたこともあったしね……」
「そうなんですか。文香さんって、色々できてて凄いですね。それに比べて……」
「奈央だって凄いじゃない。これでもかって必死になって人を助けることが出来る人なんて、そうそういないわよ?」
「そ、それは文香さんが居たからですよ」
「いいえ、普通の人だったら死体をみた時点で、思考が停止して動けなくなっちゃうと思うわ。でも奈央はそんな様子を微塵も見せなかったじゃない」
「文香さん……」
文香さんは本当に優しい人だ。
「よく頑張ったわね、奈央」
いつしか、彼女が私の憧れの存在となっていた――
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