434:ちょっと出かけてました ◆WNrWKtkPz.[saga]
2012/08/21(火) 16:33:57.23 ID:uxiE+d+J0
「はい、分かりました」
私のことを信じてくれる文香さんがそう言っているのだ――
目黒は文香さんの言葉を信じて、突破する準備を始める。
(警戒は、しておく必要がありそうね……)
あの少年は拳銃を持っていため、もし突然襲われたら危険だろう。
目黒はバタフライナイフと、スタンガンをいつでも使えるように準備をしておいた。
「それじゃ……私が拳銃を連射している間に、奈央は廊下を突っ切って頂戴!」
「了解です――」
文香さんは廊下に姿を現すと同時に、言葉通り拳銃を矢幡さんが隠れている場所へ適当に連射し始めた。
(よし、行ける!)
矢幡さんが隠れている廊下の幅は狭いため、全速力で行けば照準を合わせる前に突っ切ることが出来るだろう。
「……ッ!」
廊下を突っ切った瞬間に銃声が聞こえ、背中の服に掠れた感じがした。
(あ、危ない……)
矢幡さんのことは文香さんに任せて、倒れている少年の方へ駆け寄った。
「くっ……小癪な真似を!」
「あなたの相手は私よ!」
怒声を上げている矢幡さんと文香さんが戦闘をしているのが背後から聞こえてくる――
「君、大丈夫?」
「くっ……ち、近寄る、なッ!!」
少年は酷く弱っていて、立ち上がっては見せたが歩き方が覚束無い。
自分の拳銃の存在すら忘れているほどに、混乱しているのだろう。
「待って、いますぐ治療するから」
「うぜーん、だよ!! チッ、どいつも、こいつも……」
彼はナイフを持ってこちらを脅して来ていたため、目黒は近づくことが出来なかった。
「いい加減見栄を張らないの!」
「張ってねえよ! ……くそが、別にお前らに感謝なんてしねーからな! けっ、勝手に出しゃばって善意を押しつけやがってよ!」
長沢はこちらが助けに来た存在であるという事を理解しているのか、罵声を浴びせ続けてきた。
「…………」
なんだ、あの少年は。
私たちが来なければ死んでいたというのに。
咲実を置いてまで、必死になって駆け付けたというのに。
文香さんが、命を賭けて戦っているというのに――
いつの間にか、目黒は拳銃を持っていた。
“殺意”
これほどまでに殺意を感じたのは、“あの時”以来だ――
ふらふら歩いている少年に、拳銃が向けられる。
私はトリガーに手をかけて――
>>437
1.撃つ
2.撃たない
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