438: ◆WNrWKtkPz.[saga]
2012/08/21(火) 16:59:18.52 ID:uxiE+d+J0
いや、やめよう……
ここで彼を撃って殺したところで何になるというのだろうか。
それに、もし撃ってしまえば文香さんに合わせる顔が無い……。
「……これを持っていきなさい。すぐに効く鎮痛剤よ」
リュックから鎮痛剤を取り出して長沢のほうに投げる。
「…………」
無言でそれを拾った長沢は、ゆっくりと廊下を歩いてどこかへ行ってしまった。
(そうだ、文香さんは……!?)
目黒はすぐさま文香さんの元へ走って行った。
気が付くと銃声も聞こえなくなっており、戦闘も終了したと思われる。
「……くそっ! 覚えてなさい――」
目黒は文香さんの元へ辿りついたとき、矢幡さんが両手から血を流しながら逃げているのが見えた。
「文香さん! 大丈夫ですか!?」
「……えぇ、なんとかね。でも、ちょっと手こずっちゃったかな――」
「ふ、文香さん!!」
後ろからは分からなかったのだが、こちらへ向いた瞬間に目黒は顔を青ざめさせた。
彼女の胸辺に血が染みわたっていたのだ。
「私は大丈夫、よ。それよりも、男の子のほうは?」
「後で話しますから! いまは喋らないで下さい!」
文香さんが咲実を治療しているのを見ていたので、見よう見まねで治療をする。
「文香さん、死なないで! ……死なないでッ!」
「もう、大げさ、ね……。当たり所が良かったから、死なない、わよ…………」
文香さんはいつも通りニカッと笑顔を見せてくれるが、痛みを我慢しているのが丸わかりである。
目黒は必死に治療をし続けた…………
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